記者の目:「ウソ」で原発交付金=古関俊樹
毎日新聞 2012年02月23日 00時22分
◇「血税」の使途、チェック徹底を
関西電力・大飯原発のある福井県おおい町が国に虚偽の事業計画を提出し、「原発交付金」25億円を受け取っていたことが毎日新聞の報道で明るみに出た。「国にウソをついた」(町幹部)ことを町議会の議員全員が知りながら、それを黙認していた町も町だが、町の「ウソ」を見抜けなかった国の審査体制にも問題がある。福島第1原発事故を機に、国のエネルギー政策の見直しが検討され、交付金のあり方も問題になっている。交付金の原資は税金だ。実効的なチェック体制がなければ、交付金制度継続への国民の理解は得られない。
◇原発マネー入り 貧しい町が一変
人口約8800人のおおい町の経済は原発と切り離せない。1960年代、町は職員給与を支払えないほどの財政難だったが、79年に大飯原発が稼働し始めると、状況が一変。多額の固定資産税や原発交付金が入り、温泉や総合運動公園など豪華施設が次々に整備された。県によると、09年度までに町が受けた交付金は総額約322億円に上る。
こうした中、町は91年、「原発の町からリゾートの町に」を合言葉に、リゾート施設の整備計画を策定した。マリーナなどが整備されたが、05年にその中核施設であるホテルの事業者を公募した際は、不況で募集が難航。周囲に観光地がないなど立地条件も悪く、結局、応募は1業者だけだった。