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町長、大飯再稼働判断「月内に」 町議会の同意報告受け方針
(2012年5月14日午後8時41分)
時岡おおい町長(右)に関西電力大飯原発3、4号機再稼働(福井県おおい町)の同意に関する見解を読み上げる新谷議長=14日、福井県おおい町役場
福井県おおい町議会は14日、全員協議会を開き、関西電力大飯原発3、4号機の再稼働(福井県おおい町)に同意すると賛成多数で決めた。議会としての見解について新谷欣也議長から報告を受けた時岡忍町長は記者会見して「今月いっぱいには判断しなければと思っている」と述べた。(青木伸方)
枝野幸男経済産業相が4月14日、県と町に再稼働への協力を要請して以来、自治体、議会としての初の判断。町議会は、政府が示した2基の安全性と必要性を「おおむね理解した」とした上で、運転停止で疲弊する地元経済、電力消費地の経済と生活への影響を考慮して再稼働を容認するとしている。
時岡町長は、県原子力安全専門委員会が今後まとめる報告書を待つとともに、関西の理解を得るための国の対応や世論を見極める方針。会見では「関西の理解がない中で容認すれば悪者扱いされ、町民も加担したと言われる。国の決意を見てから、慎重に判断したい」と述べた。15日には経産省の牧野聖修副大臣が来県し、町長も面談する。
町議会は、再稼働に同意する上で見解をまとめ、付帯的な意見として、新たな知見を反映した安全性を追求するため原子力規制庁の迅速な発足を要望。日本経済を支えてきた立地の苦悩と実情が国民に理解されていない点を挙げるなど、協議の過程で出た課題、要望を盛り込んで町長に伝えた。新谷欣也議長は「町長から国に要望してほしい」としている。
この日の全協では、再稼働の是非について自由討議。2基の安全性に関しては、国の回答などを基に「福島の事故後の対策で安全性は向上している」「(町会がまとめた)統一見解をおおむね満たしている」などと評価する意見が相次いだ。
町商工会などが地域経済の窮状を訴えている点を重視すべきだとの声や、議員の感触として「町民から聞いた6割が再稼働に賛成」との意見が出るなど、再稼働容認論が大勢を占めた。一方で、多くの町民が漠然とした不安を抱えていると複数の町議が指摘した。
共産党町議だけが再稼働に反対し「周辺自治体や原発の専門家を含め、問題点を徹底的に議論した上で判断するべきだ」と主張した。新谷議長を除く出席12議員で採決した結果、11対1の賛成多数だった。
町議会は、3月にまとめた統一見解を判断のベースとして議論を重ねてきた。この日の全協後も副議長らでつくる作業部会を開き、これまでの検証作業で出た課題を盛り込んだ見解案を提示。文書にはせず、口頭で町長に伝えた。