一応「投資評論家」という肩書きもあるのですが、日経平均のチャートがこんな状態では記事を書いても誰も読みません。
最近は、私の専門分野のひとつ、ITの記事の方が人気です。そんな中、また注目のニュースが飛び込んできました。
日本を代表するSNS「mixi」が入札形式で身売りをするという内容の記事です。
前職にて、SNS黎明期から開発に携わっていたので、日本のSNSの歴史を振り返りながら、mixi身売りについて考えてみたいと思います。
SNS、その始まりの特異点は2003年、Google社の「orkut」です。「orkut」を知った時、度肝を抜かれました。
「人類データベースを構築できるじゃないか...」
そのことに"気がついてしまった"人たちは、Googleに勝つことを夢想しました。そしてごく一部の人たちは、単なる夢想にとどまらず、ついに行動に移しました。成功すれば、絶大なる権限、そして巨万の富を手中に収められます。
2004年2月、日本初のSNSとして「GREE」が登場します。当時は「グリー」ではなく「GREE」と表記するのが一般的でした。当初のユーザーの雰囲気は、慶応SFC的な香りが漂い、良くも悪くも"意識が高い"人々が集まる場でした。
当時の私はネットコミュニティの研究員をしており、ネット史上最速、いや人類史上最速のスピードで会員数を獲得していくGREEの興起を目の当たりにしていました。まだ楽天社員だったGREE社長の田中さんに話を伺いに行き、彼のぶれない自信を確認しました。
そして自らも自らの野心に屈し、自分(たち)のSNSを開発しました。
「キヌガサ」や、新田(たち)が作ったSNSなど、何十、何百のSNSが百花繚乱。私の取り組みにも日経新聞やダイヤモンドが取材に来ました。
しかし、先行する「GREE」と他のSNS群の間には何十馬身も差が付いていました。前を見ても、馬の尻尾なのか、女子高生のポニーテールなのかも見分けがつかないほどでした。
GREEの独走に待ったをかけたのは、笠原さんの「mixi」でした。ポップな色使いと馴染みやすいインタフェイスで一気にGREEを差しました。現在、会員数(ID数)2,000万人と日本一のSNSとなっています。
#ちなみに私のIDは4桁です。
ネットと言えば、いつも話題の中はSNSな時代であり、アルバート・ラズロ・バラバシの「新ネットワーク思考」など絡めて語られることが多かったです。
国内だけでなく、米国のSNS事情についても調査し、当時からFacebookには注目していました。ただ、個人的に「orkut」が日本にも上陸し、覇権を取ると予想していました。なにせ、あの"Google"なのですから。
しかし、実際にはGoogleはSNS以外の全ての覇権を取るものの、SNSだけはザッカバーグ譲ってしまいました。GoogleがSNS市場を抑えなかった理由は未だにわかりません。おそらく、ラリー・ペイジとセルゲイ・ブリンが私の予想を外させるためにいたずらをしたのではないかと思っています。
ここでSNS市場は転換点へと向かいます。mixiが日本の頭の天辺から爪先までを覆い、GREEは風前の灯火に見えました。そこから復活するのは、ボーリングの「7と10」のスプリットを取るよりも難しく思えました。
しかし、GREEはKDDIと資本提携、携帯ゲーム開発という英断により蘇生します。そして見事、mixiに再逆転を果たしました。つまり、GREEはまるでブロボーターのように7-10をスペアにしたということです。
現在は、GREEと同じように携帯ゲームを主軸としたディー・エヌ・エーの「モバゲー」がヒットし、GREEとモバゲーが二大勢力になっています。
純SNSとしては黒船Facebookが日本でも定着。立ち位置を失ったmixiは失速し今回の身売りの報道となりました。
さて、この売却は実現するのでしょうか。実現するとしたら、勢力図がかわります。上がる銘柄、下がる銘柄は要チェックです。
ところで、mixiとは全く別の話をひとつ。まだネットには恐らくどこにも書いていありませんが、某大型サイトについても身売りの噂が流れています。あまりにも影響力がある話のなので、メルマガでもさすがに詳しく書けないのですが、軽く触れています。
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