家に帰る途中の駅前の道路。
道の端に猫が倒れていた。
自転車置き場のすぐ前、向かいにはすき家。
人通りも多い。
車を５０メートル先の銀行の駐車場に入れ、現場に戻った。
口を大きくあけて体は硬直していた。
２、３時間は経っているだろう。
その間にここを通った人は沢山いるはず。
でも誰一人この子に手を差し伸べてはくれなかった。すぐ横の塾の前にも違法駐車の車は多い。
きじとらの白いハイソックスを履いた女の子
抱きあげて袋の中に遺体を入れると、悔しくて涙が出てきた。
多分即死だっただろうけど、これだけ人が通り過ぎて行く道で、誰一人どかしてあげることも出来ないなんて。
綺麗な子だった。牽かれたその場所から彼女を抱き上げると、夥しい血がアスファルトに吸い込まれた後があった。
飼い主が探している可能性もあるので、今晩は袋に入れて明日そのままだったら埋葬してあげようと思う。人間なんてそんなものさ。
悪魔が笑った。