経営破綻(はたん)した日本振興銀行の木村剛(たけし)元会長(50)が、自ら保有していた振興銀株の譲渡をめぐって東京国税局の税務調査を受け、2010年までの2年間で約2億4千万円の申告漏れを指摘されたことがわかった。過少申告加算税などを含めた追徴課税は約4千万円という。元会長は異議を申し立てたとみられる。
関係者によると、木村元会長は破綻前の10年3月ごろ、保有していた振興銀株を同行の融資先の信用保証会社に1株あたり33万円程度で売り、約2億4千万円の利益を得た。同じ年の9月の振興銀破綻後、残りの保有株を第三者に1株あたり1円で売却した。
株式の譲渡所得は他の所得と分けて計算し、利益については同じ年に出た損失と通算(相殺)できる。木村元会長は破綻によって株の売却で得られるべき利益を失ったと判断したとみられ、破綻前の株売却で得た利益と相殺していた。国税局は「破綻後に譲渡した株式は課税対象となる資産とは認められず、利益と損失を相殺できない」と指摘したとみられる。