知の大国アメリカ~ランド研究所から~

コピー&ペーストは本当に悪いのか?
学生の「コピペレポート」に憤慨する大学教員に異議あり!

2012年05月14日(月) 田村 耕太郎
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ハーバードの学生が書いたウィキペディアのコピペレポート

「おおすごいレポートじゃないか?よく調べたね」--私はある学生が書いたレポートに驚いた。ハーバードの学部生とはいえ、著作の引用も多彩で的確、データも豊富だ。論旨もしっかりしている。

「ネットで探した文献のコピペ(コピー・アンド・ペースト=ネット上の文献やデータを引用・切り貼りしたもの)ですよ。今の教授たちはわれわれがウィキペディアでレポート書いているなんて思ってませんよ。へへへ」と彼は笑った。

ハーバードの政治学部生が比較政治について書いたレポートで相談に来た時の話だ。日本のウィキペディアと違い、本場のそれには、あらゆるテーマについて大量に、そしてけっこう正確な情報が詰まっている。これを切り貼りするだけで内容の豊富なレポートが書けそうだ。

「教授たちから何も言われない?」と問うと、「問題は内容ですよ。ハーバードの先生は学生の論文をよく読み込みんでいます。こちらもコピペとはいえ、真剣に切り張りしていますから」と胸を張る。

一方、日本の大学では、「コピペのレポートは許すまじ」との流れだそうだ。東京の名門大学で教鞭をとる方のお話を聞いたところ、「コピペが学生レポートを軽薄なものにしている」と憤慨されていた。「自分で考えて書かずに、ネット上の文章を切り貼りしたものをレポート提出されて困っている。これはネット社会の弊害だね」とかなり批判的だった。

このコピペレポートを巡る日米教官の反応の格差について、別の親しい日本人教授から考えさせられる反応があった。一つはレポート提出という行為について。もう一つはコピペを活用した論文作成自体についてである。それがとても興味深かった。

ハーバードの学生の「コピペ」レポートに驚いた! phpto:Getty images
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