社説:沖縄本土復帰40年 「差別」の声に向き合う

毎日新聞 2012年05月15日 02時30分

 「核抜き」はどうだろう。沖縄に配備されていた戦術核ミサイルは撤去されたが、返還後の沖縄には、核再持ち込みの「密約」疑惑がつきまとった。一連の密約問題を検証した外務省の有識者委員会は一昨年、核再持ち込みについて「必ずしも密約とは言えない」としたが、佐藤首相とニクソン米大統領が署名した、再持ち込みに関する極秘扱いの文書の存在は否定しようがない。委員会の結論には強い違和感が残る。

 また、返還の見返りに、本来、米国が支払うべき土地の復元費用を日本政府が肩代わりする約束をしていたことも明らかになった。こちらは有識者委員会も密約と認定した。

 これら「沖縄密約」は、国民と沖縄を裏切る外交史の暗部である。

 ◇本土も負担の覚悟を

 毎日新聞と琉球新報の共同世論調査では、沖縄への米軍基地集中について沖縄の69%が「不平等だ」と回答、全国では33%だった。普天間移設は、「県外」「国外」「撤去」の合計が沖縄89%、全国63%だった。

 本土も沖縄も安全保障上の利益を等しく享受しながら沖縄に基地が集中していることに、県民は強い不満を抱いている。数字は、本土と沖縄の意識の隔たりも示している。

 厳しさを増す東アジアの安全保障環境を考えれば、在日米軍をただちに大幅削減することは難しい。選択肢は限られている。解決には、本土が負担を引き受ける以外にない。

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