社説:沖縄本土復帰40年 「差別」の声に向き合う

毎日新聞 2012年05月15日 02時30分

 「核抜き・本土並み」の返還。当時の佐藤栄作首相はこう公約し、学者を密使として派遣するなど政治主導で米側と交渉を重ねた。領土返還という最も難しい外交課題を、粘り強い交渉によって成し遂げたことは正当に評価されるべきだろう。

 しかし、返還後の現実は、沖縄が願っていた姿とはほど遠かった。

 本土と同じく、米軍への基地提供を定めた日米安保条約を沖縄に適用する−−これが、政府にとっての「本土並み」の意味だった。

 返還後、本土の米軍基地削減と表裏をなして、沖縄の基地の比重が高まった。今、国土面積比0.6%の沖縄に、全国の米軍基地施設面積の74%が集中する。沖縄本島の18.4%を米軍基地が占めている。復帰前と変わらず、住民は、米軍機墜落の危険、騒音などの生活被害に耐えることを強いられた。米兵による事件・事故が繰り返され、その対応には日米地位協定が立ちはだかった。

 沖縄が期待した基地のない「本土並み」の暮らしと現実の落差は、あまりに大きかった。

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