社説:沖縄本土復帰40年 「差別」の声に向き合う

毎日新聞 2012年05月15日 02時30分

 戦後、長年にわたり米国の統治下にあった沖縄の施政権が日本に返還されて、15日で40年を迎えた。

 政府と沖縄県は共催で記念式典を開く。会場は、移設が難航する米軍普天間飛行場から約1キロ。政府と沖縄の間に横たわる基地問題の最大の懸案を眼前にしての催しとなる。

 式典には野田佳彦首相が出席し式辞を述べる。しかし、政府に向ける沖縄の視線は厳しさを増している。

 仲井真弘多沖縄県知事が、過重な米軍基地の負担を「差別」と表現したのは2年前だった。そして、今、同じ意識が県民に広がっている。本土復帰から節目となる年に、その言葉の重みを改めてかみしめたい。

 ◇変わらぬ基地集中

 沖縄は、「本土による差別」を、過去4回経験したといわれる。

 1872年の琉球王国強制廃止・琉球藩設置に始まり、7年後の沖縄県設置で琉球を近代日本に組み入れた「琉球処分」、本土決戦に向けた「時間稼ぎ」作戦で住民9万4000人を含む18万8000人が犠牲となった1945年の地上戦、沖縄などを本土から切り離し、米国統治下に置くことを認めた52年のサンフランシスコ講和条約発効。そして、72年の施政権返還・本土復帰である。

 本土復帰は、他の3件と違って、米国統治下の沖縄の悲願だった。それが「差別」とされる理由は、復帰後も続く過重な基地負担にある。

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