東洋紡、研究員の“一時避難”検討 関電の深刻な電力不足懸念

2012.5.8 20:23

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 東洋紡の坂元龍三社長は8日の決算会見で、今夏の電力不足が懸念される関西の事業について、「総合研究所」(大津市)の研究員約600人を、関西以外の工場に一時的に異動する検討を始めたことを明らかにした。企業の“頭脳”である研究開発部門の人材を大移動させるのは異例。

 坂元社長は、総合研究所で働く約600人の研究員について、「電力が足りなくなれば、北陸電力管内の敦賀事業所(福井県敦賀市)や、中部電力管内の犬山工場(愛知県犬山市)に移すことも考えたい」と話した。

 一方、同研究所内で医薬品の受託製造などを手がける「大津医薬工場」は、他工場での代替生産ができないため、自家発電設備を導入する予定だ。大阪市北区の本社では、LED(発光ダイオード)照明や太陽光発電の導入などで昨夏比4~5%の節電を図る。

 関西電力管内の今夏の電力需給について、政府は14・9%の電力不足になるとの見通しを示しており、企業にとっては深刻な課題となっている。他の企業でも本社機能や工場、研究所の一時移転の検討が広がり、関西経済の空洞化に拍車がかかる恐れもある。

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