食品表示の裏側:一元化問題を考える/上 添加物と使用目的、併記を
2012年05月14日
◇pH調整剤入りでも「保存料不使用」 欧米では用途名必須
三つの法律で決められている食品表示のルールを一元化しようという議論を、消費者庁が進めている。おかしな表示をいくつか取り上げ、どんな表示が望ましいか、どう改善すればいいかを考える。
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コンビニエンスストアでおかず入り弁当を買うと、容器に「保存料・合成着色料・甘味料不使用」と書いてある。保存料が使われていないので「早めに食べないと腐ってしまう」と思う消費者も多いだろう。だが実は、保存目的の添加物は使われている。
表示欄の原材料名を見ると「pH調整剤」「グリシン」とある。日本食品添加物協会によると、pH調整剤は食品を弱酸性に保ち、腐敗を抑える目的で使われる添加物だ。クエン酸ナトリウムや酢酸ナトリウムなど、約30種類が食品衛生法で使用を認められている。アミノ酸の一種のグリシンも日持ちをよくする効果がある。
弁当を製造・販売する大手コンビニチェーンは、pH調整剤などを使う理由を「食品の変質を防ぐため」と説明する。つまり、pH調整剤、グリシンとも食品の腐敗を防ぐ保存料のような働きをするわけだ。