敦賀原発 地下の亀裂を調査へ5月14日 18時49分
福井県にある敦賀原子力発電所の敷地の地下を走る亀裂について、専門家から活断層の可能性があることが指摘されたことを受けて、日本原子力発電は敷地の地下にある複数の亀裂と周辺の地層を詳しく調べ、調査結果を随時、国に報告することになりました。
福井県敦賀市の敦賀原発について、先月24日、専門家らが現地調査した結果、2号機から西に150メートル離れた地中にある破砕帯と呼ばれる亀裂が活断層の可能性があり、敷地内を走る浦底断層という活断層と連動する可能性が指摘されたほか、2号機の真下を走る亀裂も活断層の可能性があるか調べる必要があるとして、原子力安全・保安院が日本原子力発電に再調査するよう指示しました。
これを受けて、日本原電は14日の専門家会議で、これらの亀裂が活断層かどうかを調べる計画を示しました。
計画では、2号機の真下や周辺にある6本の亀裂について、ボーリング調査などを行って地層を詳しく調べ、過去に亀裂が動いた年代やずれた方向を測定し、亀裂が活断層かどうかや浦底断層と連動する可能性があるかについて調べるということです。
調査はことし11月まで行い、日本原電は調査結果が分かったものから随時、国に報告することにしています。
国の耐震設計の指針では活断層の真上に原発の重要な設備を設置することを認めておらず、調査の結果、2号機の真下の亀裂が活断層だった場合、定期検査で止まっている2号機が運転できなくなる可能性もあります。
専門家会議の主査を務める耐震工学が専門の東京大学の高田毅士教授は「亀裂が活断層かどうかを判断するためには、これまで以上に詳しい調査が不可欠なので、時間がかかっても綿密な調査をしてもらいたい」と話しています。
日本原電“しっかり調査したい”
専門家会議で敦賀原発の亀裂調査の説明にあたった日本原子力発電の開発計画室の入谷剛副長は「きょうの会議で時間がかかっても信頼できる調査結果を出してほしいという意見が出たので、計画に沿ってしっかりと調査したい」と話しました。
そのうえで、専門家からの指摘で、こうした亀裂を活断層でないとしてきた日本原電の調査に疑問が出ていることについて「これまでもきっちり調査してきたつもりで、今もこうした亀裂は活断層ではないと考えている。ただ指摘があるのは事実なので、より詳しく調査をして、活断層かどうかの評価をしたい」と述べました。
敦賀原発の活断層問題とは
福井県の日本原子力発電の敦賀原発の敷地内を走る活断層や亀裂を巡っては、耐震性に問題がないとする日本原電に対し、専門家が繰り返し疑問を投げかけてきました。
昭和45年に運転を始めた敦賀原発1号機は、建設が許可された段階では、日本原電は敷地内に活断層はないと評価し、国の審査でも認められました。
しかし、阪神淡路大震災をきっかけに原発の耐震性の指針が見直され、それまでより8万年さかのぼり、13万年前よりあとに動いた可能性のある断層を「活断層」と定義したことや専門家の指摘を受けて敦賀原発周辺を再調査した結果、平成20年に1号機から東側に250メートル離れた敷地内を走る浦底断層が活断層であることが新たに確認されました。
また、この作業の中で専門家から敷地内におよそ160本ある「破砕帯」と呼ばれる亀裂の一部が、周辺の活断層の動きに連動することで地面に傾斜などができて、原発の施設に影響する可能性が指摘されました。
これに対して、日本原電は平成22年に「これらの亀裂は少なくとも13万年前よりあとに動いた形跡はなく、浦底断層とも連動する可能性がないことから活断層ではない」という評価結果をまとめ、現在、経済産業省の審議会で妥当かどうかを審議しています。
こうしたなかで、去年3月に起きた震災で断層の活動が震災前より活発になったため原子力安全・保安院が原発周辺の活断層の評価の見直しを進める中で、専門家から「浦底断層」が近くにある活断層と連動した場合、これまでより10キロ長い35キロとなり、より大きな揺れを引き起こすおそれがあると指摘され、保安院は、日本原電に再評価するよう指示しました。
さらに、先月24日に専門家の現地調査で、敦賀原発の地下を走る亀裂が活断層の可能性があると指摘されたことを受けて、保安院はこうした亀裂が活断層かどうかや「浦底断層」と連動して動く可能性があるか改めて評価するよう指示し、敦賀原発の敷地内を走る活断層や地下の亀裂が原発の耐震性にどのように影響するかが問われる事態になっています。
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