フィリピン・マニラ(Manila)の警察施設で、国家捜査局(NBI)要員に連行されて裁判所に向かう、大量殺人事件の主犯とされるアンダル・アンパトゥアン・ジュニア(Andal Ampatuan Jr)被告(中央、2010年1月20日撮影)。(c)AFP/TED ALJIBE
【2月9日 AFP】フィリピン南部ミンダナオ(Mindanao)島のマギンダナオ(Maguindanao)州で、知事選に絡み地元政治家の親族やジャーナリストら57人が殺害された事件で、検察当局は9日、グロリア・アロヨ(Gloria Arroyo)フィリピン大統領とかつて密接な関係にあったアンダル・アンパトゥアン・シニア(Andal Ampatuan Snr)同州知事を含む197人を殺人罪で起訴した。
前年11月、マギンダナオ州で、地元政治家イスマイル・マグダダトゥ(Esmael Mangudadatu)氏の州知事選への立候補を代理で届け出るため選挙管理委員会に向かっていたマグダダトゥ夫人や側近、および親族やジャーナリストのグループが襲撃され、57人が殺害された。マグダダトゥ夫人や、妊娠中だった姉妹、ジャーナリスト30人以上が犠牲となった。
アンパトゥアン・シニア州知事の息子のアンダル・アンパトゥアン・ジュニア(Andal Ampatuan Jr)被告は、すでに殺人を画策したとして訴追され、殺人罪で裁判が始まっている。
起訴されたのは、誘拐・射殺などを実行したとされる197人。
Leo Dacera検察官は、起訴事由について、「被告らが殺人指令に直接関与したことを示す明確な確認がとれている」と述べている。
アンパトゥアン・シニア知事は、過去10年近くマギンダナオ州の州知事を務めていた。また、アロヨ大統領と密接な関係があり、アンパトゥアン・シニア知事と息子のアンパトゥアン・ジュニア被告は、大量殺人をめぐり除名になるまでアロヨ連立政権に参加する与党のメンバーだった。
アロヨ政権は、フィリピン南部のイスラム分離独立派の暴動を抑え込むため、アンパトゥアン知事らの私兵に武器を供与していた。(c)AFP