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江戸絵画で心の復興支援 来年3〜9月、被災3県で巡回展

伊藤若冲の「鳥獣花木図屏風」(右隻部分)(c)ETSUKO AND JOE PRICE 写真提供・小学館

記者会見するジョー・プライスさん(右)とエツコさん夫妻

 伊藤若冲の作品など江戸時代絵画の収集家として知られるジョー・プライスさん(82)、エツコさん(73)夫妻=米カリフォルニア州=の所蔵品を紹介する特別展「若冲が来てくれました−プライスコレクション・江戸絵画の美と生命−」が来年3〜9月、仙台、盛岡、福島各市を巡回する。東日本大震災の復興支援の一環で、夫妻が無償で作品を貸し出す。

 ジョーさんは約60年前に若冲の絵に魅せられて以来、江戸絵画の収集に力を注ぎ、所蔵品は約600点に及ぶ。日本にも作品を積極的に貸し出し、近年の若冲再評価のきっかけをつくった。
 特別展は、復興の活力にしてもらおうと、夫妻が開催を申し出た。若冲、長沢芦雪(ろせつ)、曽我蕭白(しょうはく)、円山応挙ら京都の画家や、酒井抱一、鈴木其一といった江戸琳派の画家の約100点を展示する。
 目玉の一つは、若冲の「鳥獣花木図屏風(びょうぶ)」。縦170センチ、横370センチの屏風2枚の大作で、画面を約8万6000個の小さな升に分割し、右隻にゾウなどの動物、左隻に鳳凰(ほうおう)などの鳥を色鮮やかに描いた。このほか、若冲「紫陽花双鶏図」、芦雪「黒白図屏風」、其一「群鶴図屏風」などが出品される。
 来年3月1日〜5月6日に仙台市博物館で開催。その後、5月18日〜7月15日に岩手県立美術館(盛岡市)、7月27日〜9月23日に福島県立美術館(福島市)で開かれる。
 ジョーさんは11日、仙台市役所で記者会見し「美しい絵が心の励みになればいい。ゆっくりと絵を見て楽しんでほしい」と語った。
 監修者の辻惟雄東大名誉教授はコレクションの特徴について「プライス氏は米国人らしい見方で日本人が見逃しているものを発見する。楽しく、色が美しいことがポイントになっている」と話している。

[伊藤若冲(いとう・じゃくちゅう)] 1716〜1800年。江戸中期の画家。卓越した技術で、華麗な動植物の絵を描いた。奇想の画家として知られ、近年、国内外で人気が高まっている。代表作は「動植綵絵」(どうしょくさいえ)など。


2012年05月12日土曜日


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