北朝鮮不正輸出:容疑の社長、10年で50回物資送る
毎日新聞 2012年05月14日 15時00分(最終更新 05月14日 15時02分)
成元容疑者は09年12月と10年5月に道路改修に使うタイルなどを不正輸出した罪でこれまでに逮捕、起訴され、壁紙を輸出した容疑で再逮捕された。捜査本部は北朝鮮側から成元容疑者に届いた電子メールや、成元容疑者が現地で撮影した写真などを押収しており、これらの資材が平壌中心部の「蒼光(チャンガン)通り」の舗道改修などに使われたことを確認した。
「労力英雄」称号 成元容疑者は「愛国事業として協力した」と供述しており、今回の輸出品については、一部無償だった。成元容疑者は10年1月、北朝鮮当局から「労力英雄」の称号などを贈られたとされる。北朝鮮に億単位の経済功績を残した人物が受けるといい、一連の輸出が評価されたとみられる。
捜査本部は北朝鮮当局が成元容疑者の祖国への忠誠心を利用する形で輸出を促したとみている。今回の事件では中国にある北朝鮮系の貿易会社「大連グローバル」がかかわったことも判明。同社は過去の不正輸出事件でも再三利用されており、実態解明を進める。