県側は過激図書を排除
県センターの150冊対象に

過激な内容の書籍を含む約150冊が排除された福井県生活学習館(男女共同参画センターに相当)=福井市
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県の方では、第二次男女共同参画基本計画を受け、福井県生活学習館(男女共同参画センターに相当)にある図書の見直しが起きている。
同館には、県の男女共同参画推進課がおかれ、年間を通じてさまざまな研修や講演会などが実施される。一階の書籍コーナーには二千冊余りの書籍がある。
近藤推進員は、そこに置いてあった『ジェンダーを科学する―男女共同参画社会を実現するために』(松本伊瑳子・金子篤子編)を手にしたところ、その過激な内容に驚きを覚えたという。
同書は、まず「近代資本主義社会が成立するにしたがって、女性たちは家庭の中に囲い込まれる生活を半ば強制されてきた」とし、家事・育児を「人間の『再生産』に携わる仕事」と表現。
また「<母性>は社会維持に必要な制度であり、近代資本主義社会というイデオロギーの要請上できあがったものであった」とし、「これは女性に結婚を強制し、女性を母性の中に閉じ込め囲い込む社会的装置、〈強制的異性愛〉でもある」などと書かれている。
「政府の改定を受けて」担当者
さらに、同性愛者カップルの結婚の可能性について述べ「父、母、子で成り立つ家庭を築くことは、必ずしも人間の使命ではなく、ましてや本能でもない」と訴えている。
近藤推進員は、家族解体まで目指す本を県の予算で運営する生活学習館に置くのは理解できないとして、福井県男女共同参画条例の第九条に基づき、昨年十一月、西川一誠知事あてに苦情申出書を提出。同書を含め幾つかの過激な図書の排除を要請した。
これに対して、男女参画・県民活動課の宇野真理子課長(当時)は「男女共同参画に関する考え方についてはさまざまなものがあり、それらに関する情報の提供は学習するうえで必要である」と書面で回答していた。
近藤推進員は、この宇野課長の回答にショックを受ける一方、同学習館にどのような図書が置かれているのか一日がかりで調査。
その結果、ジェンダーフリーを掲げるものが九冊、「男でもなく女でもなく」「専業主婦が消える日」「優しい去勢のために」「完全離婚マニュアル」など、およそ男女共同参画とは無縁の書物が多数あることに気付き、その必要性が非常に疑問視される書籍リストを作成。県議会議員や地元紙などに問題提起してきた。
こうした中で今年三月、この種の書物、約百五十冊が同センターの書棚から排除されたのである(別表参照)。過激なフェミニスト、上野千鶴子・東大教授の本では、『スカートの下の劇場』など十冊が排除本とされた。
宇野前課長(現在、総務部企画幹)は、本紙の取材に対して「政府の基本計画改定で、男女共同参画が目指す方向がより明確になった。それを受けての措置」と述べ、「今後も県民の声に耳を傾けながら柔軟に対応したい」と語った。
本家明美・男女共同参画推進課長は「宇野課長(当時)から排除するように指示があった。排除した本は、一般の人の目に留まらない倉庫のようなところにある」としている。
近藤推進員は、「政府や自民党は、基本計画改定に基づき地方の男女共同参画センターの書籍や講師選びが適切に行われているか、もっとチェックすべきだ」と述べる。
福井市の小学四年用副読本も、状況の変化を受け、適切な内容にするために抜本的な改定を行うことが求められている。
(サンデー世界日報4月30日号より)