日中韓共同宣言 北朝鮮問題言及せず5月14日 12時6分
北京で開かれていた日本、中国、韓国の首脳による「日中韓サミット」の共同宣言が発表され、3カ国によるFTA=自由貿易協定について、年内に交渉を開始することを明記したものの、焦点の北朝鮮問題には言及せず、日韓両国と中国との温度差が改めて浮き彫りとなりました。
「日中韓サミット」出席のため、北京を訪問している野田総理大臣は14日午前、人民大会堂で、韓国のイ・ミョンバク大統領と共に、中国の胡錦涛国家主席と会談しました。
この中で、野田総理大臣は「アジア・太平洋地域は、世界の成長エンジンでチャンスがたくさんある。チャンスをつかむためには、日中韓の連携強化が不可欠だ。今回のサミットで、投資協定の署名、それにFTAの年内交渉開始で合意できたことは大きな前進だ」と述べました。
また、胡錦涛国家主席は「3か国の指導者が緊密に往来することを、2国間関係、3か国の協力強化に向けて重視している。今回のサミットで重要な合意に達し、成果を収めることができた」と述べました。
さらに、イ・ミョンバク大統領は「FTAが締結できれば、3か国の経済規模をみても、世界のどの地域のFTAより肯定的な評価ができる」と述べ、3人の首脳とも今回のサミットの成果を強調しました。
こうしたなか、「日中韓サミット」の共同宣言は、内容を巡り調整が難航し、予定より1日遅れ、14日に発表されました。
それによりますと、日中韓のFTAについては、「年内に交渉を開始するとの貿易関係の大臣からの提言に支持を与えた」と明記し、年内の交渉開始を宣言しました。
また、エネルギー問題について、「最近の世界的なエネルギー価格の高騰に対する懸念を共有し、市場の安定に向けた協力強化を目指す」としています。
一方、焦点の北朝鮮問題については、13日、日中韓の3か国の首脳が共同記者会見で、核実験を含む挑発行為を阻止するため、連携を強化することを明らかにしましたが、共同宣言では言及しませんでした。
日本政府の関係者によりますと、日本と韓国が、北朝鮮問題を共同宣言に盛り込むよう求めたものの、中国が政治的な配慮が必要だとして反対し、見送られたということです。
北朝鮮に対し、きぜんとした姿勢を貫きたいとする日韓両国と、北朝鮮の友好国である中国との温度差が改めて浮き彫りとなりました。
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