映画の飲酒シーンが10代前半の若者に悪影響―米研究

2012年5月11日 18時30分 更新

映画の飲酒シーンが10代前半の若者に悪影響―米研究

 米ダートマス医科大学ノリス・コットンがんセンターのJames Sargent教授らは「飲酒シーンがある映画をよく見る10代前半の若者は、そのような映像を見ることが比較的少ない若者と比べて飲酒を始める率が2倍高く、大量飲酒に至る率も高い」と英医学誌「BMJ Open」(2012; 2: e000543)に発表した。

飲酒描写を平均4.5時間視聴

 Sargent教授らは、米国の10~14歳の6,500人超を対象に、飲酒に影響を及ぼす要因(映画鑑賞やアルコールのブランド名の入った商品、家庭環境、仲間の飲酒、個人的な反抗など)に関する質問を2年間にわたり定期的に行った。

 また過去5年間、各年の興行収入トップ100のヒット映画と、第1回調査を行った2003年の第1四半期に興行収入が1,500万ドルを超えた作品32本、計532本からランダムに選択した50本のうち、実際に見た作品を尋ねた。

 訓練を受けた評価者が、532本の各映画に登場する飲酒の描写の秒数を測定したところ、若者はこれらの映画に登場する飲酒の描写を平均で推定4.5時間見ており、8時間以上見た人もいたという。

アルコール関連ブランドの衣類も影響

 聞き取り調査の結果、10代の若者のおよそ10人に1人(11%)がビールやワイン、蒸留酒のブランド名が付いたTシャツや帽子などの商品を「持っている」と回答した。

 また、家庭での親の飲酒やアルコール入手の可能性が若者の飲酒に及ぼす影響について検討したところ、およそ4人に1人(23%)は「親が週1回以上飲酒する」と回答し、29%は「家庭でアルコールを入手できる環境にある」と回答した。

 家庭での親の飲酒とアルコール入手の可能性は飲酒開始と関連していたが、大量飲酒への移行との関連は認められなかった。 一方、映画の飲酒シーンの視聴、アルコール関連のブランド商品の所有、飲酒をする友人がいることおよび個人的な反抗は、飲酒開始と大量飲酒への移行の両方と関連していた。

飲酒の描写を制限すべき

 結果に影響を及ぼすと考えられる因子を調整後、飲酒の描写の多い映画を最も多く見た10代の若者は、最も少なかった若者と比べて飲酒開始の可能性が2倍高く、大量飲酒に至る可能性も63%高かった。また、調査期間中に飲酒を始めた10代の若者の28%と大量飲酒に移行した若者の20%が、映画の飲酒シーンの視聴と関連していた。

 Sargent教授らは「この関連は飲酒シーンだけでなく、アルコールのプロダクト・プレイスメント(映画やテレビ番組などに商品や商品名を登場させる広告手法)にも認められた。米国では映画でのたばこに対するこの広告手法は禁止されているが、アルコールについては一般的に見られ、作品の年齢制限にかかわらず、ハリウッド映画の半数に1種以上のアルコール銘柄が登場する」と指摘。喫煙が公衆衛生問題として業界モニタリングの対象となって以来、映画の喫煙シーンは減少したと指摘。映画の飲酒シーンについても「同様に重視すべきではないか」と提案している。

 また、同教授らは「ハリウッド映画の収益の半分は海外からのものであることを考えると、ハリウッドは国外に対する責任も負っている。ハリウッド映画におけるイメージは、映画が公開される各地域で若者の飲酒行動に影響を及ぼす可能性がある」との懸念を示している。


(編集部)


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