不信感を抱かざるを得ない。電力需給に関する政府の検証委員会は、今夏が一昨年並みの猛暑だった場合、8月に関西電力管内で15・7%(473万キロワット)の電力が不足すると予測したが、前提条件にいくつもの疑問がわく。「原発再稼働ありき」の試算ではないか。
政府は前提条件を全て開示し、なぜそういう前提にしたのかも全て明らかにした上で、需給問題を論ずべきだ。
検証委員会は原発が稼働しない場合、関電管内のほか九州で3・7%、北海道で3・1%、それぞれ電力不足に陥ると予測した。
だが予測は、企業との「需給調整契約」の効果を含んでいない。
もっと大きな疑問もある。河野太郎衆院議員の質問主意書に対する政府の回答を見ると、企業の自家発電は関電管内だけで685万キロワットある。だが関電が調達すると見込むのはうち89万キロワットでしかない。
企業が自家発電をフル稼働させ、その7割を関電が買い取るだけで電力不足は解消する。
回答によると、企業の自家発電は西日本全体では2170万キロワットもある。うち半分が稼働するだけで九州、北海道も含めた全国の供給余力は十分だ。東日本の自家発電も含めるとなおのことだ。なぜこれらを試算に含めないのか。
そもそも東日本大震災から1年以上たつ。夏場の供給不安は分かり切っていたはずだ。その間、電力会社間の電力融通対策、東西の周波数統一に努めなかった政府や電力会社は、怠慢のそしりを免れない。温暖化対策でエコカー補助金を設けたように、企業や住宅の太陽光発電設備導入に優遇策を取ればよかったではないか。
政府の試算も怠慢も、需給不安を「演出」し、世論を原発再稼働に誘導するためではないか。そんな疑問を禁じ得ない。わざわざ「大飯原発の再稼働で供給不足は0・9%にとどまる」という予測も発表したことが、そんな疑念を裏付けている。
細野豪志特命担当相は「原発を再稼働するかどうかは安全かどうかだけで判断する。電力需給は関係ない」と述べていたが、今や政府は電力不足対策で再稼働を求める姿勢を隠さない。福井県議が「安全確保の話から夏場を乗り切るためと話がすり替わっている」と批判するのも当然だ。需給不安をあおり、見切り発車での原発再稼働を促すのは、住民の生命軽視にほかならない。
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