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日銀保有国債 流通紙幣超える見通し
5月14日 4時53分

日銀保有国債 流通紙幣超える見通し
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日銀は金融緩和強化のため、国債の買い入れを拡大していますが、その結果、ことし年末には保有する国債が92兆円程度と、日銀が発行している紙幣の額を上回る異例の規模になる見通しで、金融市場などでは国の借金依存が進むのではという懸念も強まりそうです。

日銀はデフレからの脱却を目指し、市場に大量の資金を供給するため、金融機関から国債を買い入れていますが、金融緩和強化で買い入れ額は増え続けています。
この結果、日銀が保有する国債はことし年末までに92兆円程度になるということで、これは日銀が発行し、流通している紙幣の金額83兆円を上回る規模です。
国債をあまりに大量に保有することは、放漫な財政を助長することにつながりかねないとして、日銀は流通している紙幣の金額を超える国債を持たないという自主的なルール、いわゆる「銀行券ルール」を決めていますが、これを事実上破る異例の事態に陥ることになります。
こうした事態は戦後初めてのことで、日銀では思い切った金融緩和による一時的なものと説明していますが、金融市場などでは国の借金依存が進むのではという懸念も強まりそうです。

日銀の国債買い入れ手法

日銀は金融政策の一つとして、
従来から毎月1兆8000億円の国債を金融機関から買い入れてきました。
そして、これとは別に日銀は長引く「デフレ」からの脱却を目指す臨時、異例の対策として、おととし10月に特別の基金を設け、この基金を使って、国債の買い取りを新たに始めました。
当初35兆円だった基金の規模は、5回にわたる追加の金融緩和の結果、先月の金融政策決定会合で70兆円まで拡大することになりました。
これに伴って、国債の買い入れ額は、現在、毎月合わせて3兆9000億円まで膨んでいます。

「銀行券ルール」とは

金融緩和を行っている日銀は、大量に資金を供給する手段の一つとして、金融機関から国債などを買い入れています。
この国債の買い入れですが、日銀がもし国の借金である国債を制限なく買っていいとなると、国は事実上、いくらでも借金ができることになり、放漫な財政に歯止めがかからなくなるおそれがあります。国の借金を中央銀行が、直接、引き受けるような状態を「日銀による財政ファイナンス」や「マネタイゼーション」と言います。
日銀では、現在行っている国債買い入れはマネタイゼーションには当たらないとしていますが、金融市場がそれに近いと受け止めれば、財政や通貨に対する信用が失われ、急激なインフレを招いて日本経済に深刻な影響を及ぼす可能性があります。
こうしたことから、日銀では平成13年に「銀行券ルール」を作り、日銀が発行し、流通している紙幣、つまり銀行券の金額を超える国債を持たないようにすると定めています。

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