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政治
【正論】日本財団会長・笹川陽平 存在意義なくした参院は不要だ
≪自身の責任で決断すべきだ≫
サッチャー元英首相を取り上げた映画「鉄の女の涙」が評判を呼んでいる。3回お会いしたことがあるが、最初の1984年6月は首相6年目。亡父・笹川良一と私をダウニング街10番地の首相官邸に招待され、夕食後、われわれを閣議室に招き入れて亡父を首相席に座らせ、「このいすに長時間、たった一人で座り、1万6000キロの大遠征を孤独に決断した」と、その2年前のフォークランド紛争を問わず語りに述懐された。
「困難な政治問題は多数意見に追随するのではなく自分自身の責任で断固決断し、人々を納得させなければならない」「コンセンサスはさほど重要と思わない。あれは時間の浪費のようなものです」とリーダーとしての覚悟、自信も語られた。先が見えない混迷の時代に政治家に求められるのは、鉄のように固い信念である。
情報が瞬時に世界を駆けめぐり情勢が刻々と変化する外交の世界においては、なおさらである。北朝鮮の核、ミサイル開発が問題となる中で3月26、27の両日、韓国ソウルで開催された核安全保障サミット。野田佳彦首相のソウル入りは参院予算委員会集中審議出席のため26日夜に遅れた。結局、オバマ米大統領ら各国首脳との個別会談は実現せず、日本の存在感の薄さだけが目立つ結果になった。
これでは外交は成り立たない。首相以下、閣僚があまりに国会日程に縛られる政治の現状は、かねて日本外交不在の一因と指摘されてきた。時代の変化に合わせ、もう少し工夫できないものか。東日本大震災の復興を見ても、過疎に直面してきた被災地を21世紀型の新都市に再生させるチャンスは、停滞する政治の前に失われつつある。
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