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金環日食見逃すな 大阪府内282年ぶり

2012年5月3日

 大阪府内では池田、箕面、高槻市など山間部の一部を除いたほぼ全域で見られるという21日の金環日食。大阪で観測できるのは282年ぶりといい、チャンスを逃したくないもの。量販店などでは観測グッズコーナーが充実、各所で事前講座や観測ツアーが企画されるなど“日食ブーム”に沸いている。

特設コーナーを設置しているヨドバシカメラマルチメディア梅田=大阪市北区

 国内で次回、金環日食が観測できるのは2030年6月の北海道。府内では2041年10月25日に島本町でギリギリ観測できるかどうか。大阪市内中心部で観測できるのは2312年4月8日で、ちょうど300年後になる。

 貴重な機会だけに“大阪ならでは”の楽しみ方をしたい。大阪市立科学館の渡部義弥学芸員によると、府内北部が金環状態を観測できる北の限界線に近いことから、肉眼では分かりにくい月の表面の凸凹が他の地域よりもよく分かる。

 「ベイリービーズ」と呼ばれる現象で、太陽の端と月の端とが重なる時に月の凸凹の隙間から太陽の光が漏れてビーズのように連なり輝く。どの観測地点でも金環の始めと終わりに見られる現象だが、限界線に近い大阪では20〜30秒間楽しめる。

 また、南北で金環状態の始まりと終わりの時間に差があることから「府内の南北でツイッターなどで通信し、始まりと終わりのタイムラグを確認してみるのも楽しみ方の一つ」という。

 同科学館では、プラネタリウムで「神秘の太陽 金環日食」を上映中。金環日食当日のシミュレーション映像や観察方法の解説などがあり、本番に向けて予習ができる。20日までの土、日曜、祝日には金環日食についてのレクチャーを午前11時からと午後3時からの2回行っている。

 金環日食を学ぶ講座は他にも。同市住之江区南港北のATC(アジア太平洋トレードセンター)では、日食前日の20日に「宇宙がもっとすきになる 親子で学ぼう金環日食」を予定。京都大で太陽物理学を教えながら「子どもの理科離れをなくす会」を主宰する北原達正氏を講師に招き、金環日食の安全な楽しみ方などを学ぶ。参加無料。定員は100人。申し込みはウェブサイトで受け付けている。

 観測できる地域帯の中心線付近に位置する潮岬(和歌山県)に向けたバスツアーを企画している会社もある。中心線付近では、月の影が太陽のちょうど中心を通り、金環の状態が長く、きれいな環が見られる。

 サンシャインツアー(大阪市北区)=電話06(6344)3077=は、20日に大阪を出発する1泊2日のツアーを用意。「本州最南端 潮岬の金環日食」(4人1室、2万2200円)などで、串本周辺のビュースポットを巡り、21日午前5時すぎにバスで南紀大島の樫野崎に移動、金環日食を体験する予定だ。

 観測に当たって注意すべき点は「くれぐれも太陽を裸眼で直接見ないこと」(渡部学芸員)。専用グラスなどを通さず観察すると、目がチカチカしたり、目の奥のタンパク質が変化するなど比較的短時間で「日食網膜症」と呼ばれる症状を引き起こし、一部失明など後遺障害が残ることがある。

 それらを防ぐ日食観測用グラスは、市立科学館のミュージアムショップや量販店などで入手できる。星座柄などに加え、ウルトラマンやドラえもんなどのキャラクターものなど、品ぞろえも充実している。