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【滋賀】

知事「大阪と分断の意図」 大飯再稼働安全協新設案

政府が検討している協議会を批判した嘉田由紀子知事=高島市で

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 関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)の再稼働問題で、嘉田由紀子知事は十三日、高島市内で講演し、政府が福井と滋賀、京都府県を加えた安全規制監視の協議会新設を検討していることに「この一点だけで再稼働というのは見え透いている。滋賀と京都を取り込んで、大阪と分断する意図が見える」と政府を批判した。

 協議会は、経済産業省原子力安全・保安院を監視し、事故発生時の対策を考える。再稼働問題で、嘉田知事と京都府の山田啓二知事は、政府に共同提言を出しており、原発から百キロ離れた大阪市の橋下徹市長も安全協定締結を主張しているが、協議会は大阪を入れずに構想されている。

 講演後の取材に応じた嘉田知事は、協議会に「政府はこちらにボールを投げてきたが、共同提言の一項目で、しかも、ほんの一部をちらりと見せてきただけ」と指摘した。両知事の共同提言では「中立性の確保」を挙げ、中立的な機関の設置や地元自治体と地元住民参加の仕組みづくりを提言している。

 さらに「そもそも法律の下に位置付けないといけない大きな話」と、中立機関の法的根拠の必要性を説き、関西広域連合で対応を協議する考えを語った。

 講演は、嘉田知事の著書「知事は何ができるのか」の新刊を記念した県政報告会として催した。

 講演では、嘉田知事は「安全性が担保され、規制機関がきっちりでき、福島の事故原因究明などの条件が整わないと、再稼働に『イエス』とは言えない。この立場はとり続けていきたい」とあらためて再稼働に慎重な姿勢を示した。

 講演の最後には、福島第一原発の十キロ圏内にある福島県富岡町から高島市に避難し、現在、家族と暮らす青山総子(ふさこ)さん(63)が紹介され、青山さんは「事故が起きるまで原発の問題に全く無関心でした。皆さんに迷惑をかけてます。反省しています」と発言。その様子に嘉田知事が涙を見せ「住民の皆さんは何の責任もないのです」と声を掛けた。

 (梅田歳晴)

 

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