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復旧進む防災無線 拡声器、震災前の9割に 被災3県沿岸
東日本大震災で被災した岩手、宮城、福島3県の沿岸自治体で、防災行政無線の復旧が順調に進み、情報を伝える拡声器(屋外子局)の数は4月中旬までに、震災前の約9割に回復したことが河北新報社の取材で分かった。ほとんどの自治体は、仮設住宅に拡声器を新設するなどして居住地域の必要数を確保した。一方で、津波被害が大きく、住民が避難した地域では復旧が進んでおらず、工事関係者らへの情報伝達が課題になっている。(東野滋)
<石巻最多108基> 4月12〜23日、警戒区域内にある福島県の5町をのぞく3県沿岸部の32市町村を対象に、聞き取り調査を行った。 結果は表の通り。被災設備が最も多かったのは石巻市の108基で、宮古市56基、陸前高田市46基、宮城県南三陸町43基と続いた。宮城県の松島、利府両町はゼロだった。 拡声器数が震災前と同数か、それ以上になっていたのは13市町。このうち、水害対策として電話回線を使う防災広報装置を砂押川沿いだけに設けていた多賀城市は震災後、対象を市全域に広げ、防災行政無線の拡声器53基を新設した。 新設は、仮設住宅や無線放送が聞こえにくかった地域が中心。9基を新設した東松島市は「拡声器は震災前より10基少ないが、人が住んでいる場所に関しては十分な体制に戻った」と説明する。 復旧は漁港や住宅地などを優先している。津波被害が甚大で住民が住んでいない地域は、被災直後のままの所が目立つ。 多くの自治体が復旧に際し、無線方式をアナログからデジタルにした。国が推進するデジタル化は、映像や気象観測データを双方向で高速伝送でき、通話の音質が良くなる利点があるという。
<戸別に受信機> アナログで仮復旧した自治体をはじめ、今後整備を図る自治体は、順次デジタル化工事に入る方針。釜石市や仙台市などは拡声器の設置場所の選定や見直しに着手する。 震災前に比べ、拡声器の稼働数が8割以下の自治体も7市町ある。 気仙沼市は「かさ上げするかどうかなど、被害が大きかった地域の今後の土地利用が決まっていない」と説明する。南相馬市は「工事を終えたデジタル方式の拡声器はあるが、デジタル無線の免許取得前でまだ放送できない」という。 無線以外の情報提供手段を準備した自治体もある。宮城県南三陸町や福島県新地町などは、仮設住宅に戸別受信機を配布し、放送を屋内でも聞けるようにした。 沿岸部の拡声器が復旧していない相馬市は、近くの内陸側にサイレンを設置し、非常時に警報を鳴らす措置を取っている。
<伝達手段多層化を/今村文彦東北大災害科学国際研究所副所長(津波工学)の話> 住民が暮らしている場所では、防災行政無線の復旧が進んでいるようだ。沿岸部には工事や視察のため、多くの人が日中に出入りする。当面、災害発生時の情報入手は携帯電話やラジオに頼らざるを得ないが、手段を多層化、多重化することが重要だ。将来的には人が住んでいない沿岸地域でも、無線子局の整備を進めるべきだろう。
2012年05月05日土曜日
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