2004年度の取組から

第33回奈良市人権・同和教育研究大会(1月19日)

第9回課題別研修会「啓発・白書」(11月11日)

第8回課題別研修会「健康」(9月9日)

運営委員研修会(8月24日)

新会員研修会(8月23日)

夏期合宿研修会(8月10日)

人権・部落問題夏期講座(第2回〜第7回課題別研修会)(8月6日・9日・26日)

第1回課題別研修会「豊かな人権教育の創造」(6月24日)

第1回人権教育推進教員・保育士研修会(5月27日)

第37回奈良市・人権同和教育研究会総会(5月17日)

2003年度の取組

第33回奈良市人権・同和教育研究大会
1月19日(水)奈良市立済美小学校・奈良市立済美南小学校・奈良市立大安寺小学校・奈良市立大安寺幼稚園・春日野荘

 第33回の研究大会は、5分科会14分散会において24本の報告がありました。また、特別分科会では、奈良県立大学の吉田智弥さんに、「人権教育の基本は、“原点・志・臨機応変 〜自己肯定(誇り)未来肯定(希望)を獲得目標に〜」と題してお話しいただきました。
 年々、報告のスタイルも多様化し、より具体的で分かりやすい報告を、報告者と司会者で練り上げていただいていることに感謝したいと思います。
 報告の詳細については、研究大会冊子をご覧ください。必要な方は、若干数が事務局に残っていますので、お問い合わせください。

第9回課題別研修会「啓発白書」
11月11日(木)春日野荘

 奈良県市町村人権・同和問題啓発活動推進本部連絡協議会(「啓発連協」)事務局長の平岡恭正さんをお招きして、11月11日(木)、春日野荘にて、第9回課題別研修会「啓発・白書」を行いました。「インターネットステーションのとりくみ 〜これでいいのか表現の自由〜」という演題で、「啓発連協」の成り立ちから現在のインターネットステーションの取組までをお話しいただきました。
 インターネット掲示板における差別書き込みについては、今年度6月10日〜11日に行われた全同教分野別研究会「社会教育」でのシンポジウムを始めとしてインターネットステーションの具体的な取組を紹介していただきました。わたしたち自身が、日常生活の中で、「差別書き込み」を許さないうねりを創り上げていくことの大切さを確認し合うことができました。

第8回課題別研修会「健康」
9月9日(木)春日野荘

 9月9日(木)、春日野荘にて、第8回課題別研修会「健康」を行いました。今回は、国立療養所菊池恵楓園入所者自治会長の太田明さんをお招きして、「『理解から共感へ』〜ハンセン病問題の解決にむけて〜」と題してお話しいただきました。
 1952年には、WHO(世界保健機関)が治療薬「プロミン」の効果を評価し、隔離政策の見直しを提言しているにも関わらず、「優勢保護法」や「らい予防法」が人権を奪い、家族を奪い、生活を奪ってきた事実を学ばせていただきました。また、ハンセン病に対する誤った認識が差別を温存し再生産してきたことを確認し合うことができました。
 太田さんにお持ちいただいたビデオを通して、菊池恵楓園・入所者自治会機関誌「菊池野」に寄せられたいくつかの文を紹介していただきました。入所者のみなさんの思いや願いが込められており、胸を締めつけられる思いがしました。

運営委員研修会
8月24日(火) ならまちセンター ほか

 運営委員研修会は、毎年、市内の現地現地研修会を軸に企画しています。今年度は、ならまちセンターにおいて、部落解放同盟梅園支部支部長の丸野親章さんから梅園の歩みについてお話いただき、その後、あすか人権文化センターまでのコースでフィールドワークを行いました。
 丸野さんからは、歴史の流れに沿って、差別の現実と闘いについてをお話しいただきました。
 フィールドワークでは、ふとん資料館→大蔵流狂言発祥の地→崇道天皇社→あすか人権文化センターというコースで、古代から現代に至る奈良の人権に関わる歴史について学び合いました。研修会はあすか人権文化センターで閉会しましたが、オプションとしてならまちセンターへの帰り道に山水河原者である善阿弥が関与した遺構である大乗院庭園に立ち寄り、中世被差別民衆についての学びを深めました。

新会員研修会
8月23日(月) みかさ人権文化センター ほか

 新会員研修会は、この数年、みかさ人権文化センターを会場に行っています。天候の都合で予定を変更し、開会行事の後、フィールドワークを先に行いました。その後、フィールドワークで見た内容の振り返りも含めて、西之阪支部元支部長の安藤和幸さんから、「西之阪町の歴史と現状、今後について」と題して、ご自身の生い立ちを交えながらお話しいただきました。
 市同教では、人権・同和教育の広がりを進めるために、新会員研修をとても大切なものとして捉えています。今後も充実した研修を進められるようにしていきたいと思います。

夏期合宿研修会
8月10日(木)松原市立布忍小学校 ほか

 8月10日(火)、松原市立布忍小学校とその校区において、夏期合宿研修会を行いました。例年は1泊2日で行っていますが、今年度は全外教研究集会が奈良市を会場として行われることもあり、1日での開催となりました。
 8月6日の人権・部落問題夏期講座の中でも布忍小学校の取組を聴かせていただいていましたが、さらに深めた内容で、地域ぐるみで学力保障に長年取り組んでこられた内容とその成果を学ぶことができました。
 午後からは、校区内のフィールドワークと共に、青少年センターで地域の取組を聴かせていただきました。
 同和教育の歴史の中で、松原第三中学校や布忍小学校が地域と共に取り組んできた営みと共に、それがさらに発展するかたちで、中学校区の保・幼・小・中、そして松原市の取組へと発展していることを学ぶことができました。これからの奈良市での活動に生かしていきたいものです。

人権・部落問題夏期講座(第2回〜第7回課題別研修会)
8月6日・9日・26日 なら100年会館

第1講座 「障害児」教育

 ともに生き、ともに学ぶ」と題して、ちいろば園施設長の富田忠一さんにお話しいただきました。ちいろば園の設立から今日を振り返ると共に、「障害」をどのようにとらえていくのかということや、あたりまえの(必要な)経験をするための支援が必要だということなどを学ぶことができました。
 「障害者」への差別が、「障害者」にとって本来あたりまえでなければならない必要な経験を奪ってきていることを、再度確認することができました。
 また、今回の研修では「特別支援教育」についても理解を深めることができました。「特別支援教育」のあり方によっては、同化を進めることになりかねないことが気がかりです。インテグレーションからインクルージョンへの転換を図り、「ちがい」を尊重し合うことができる社会の実現に向けて、取組を進めていきましょう。

第2講座 自主活動

 「新しい時代の学力を育てる 〜子どもの学びをマネージメントする〜」と題して、大阪府立修徳学院の脇田学さんにお話しいただきました。子どもたちの「学力」とはいったい何なのか。そしてその学力をどのように保障していくのかという内容を、理論と実践に基づいてお話いただきました。
 総合学習を進めていくうえでのこれからの課題として、「学校の特色を問うこと」「学ぶことの意味を見つめること」「教科とのつながりを意識すること」「評価観の転換を視野に入れたカリキュラムづくり」という4点を示していただきました。
 「学力」については、さまざまなところでさまざまな議論がなされています。わたしたちは、子どもと現実の接点の中で検証し、将来を保障することができるための営みとしていきたいものです。

第3講座 多文化共生教育

 「地雷原に住む人々 〜カンボジアの子どもたちの現状と生活〜」と題して、日本地雷処理機構(JDA)代表の佐藤登久代さんとカンボジア子どもの家代表の栗本英世さんからお話しいただきました。栗本さんが大変お忙しく、到着が遅れてしまったために十分な時間が確保できなかったことが残念でした。また、期待して参加してくださった会員のみなさんにも申し訳なかったという気持ちでいっぱいです。
 しかしながら、佐藤さんからカンボジアでの地雷除去の活動や栗本さんの活動の様子をうかがうことができ、また栗本さんからも短い時間ではありましたが、カンボジアの子どもたちが置かれている現実をうかがうことができました。
 わたしたちのボランティアに対する考え方を見直す視点を与えていただいたように思います。

第4講座 進路・学力保障

 「21世紀発『学びの総合化』をめざして」と題して、松原市立布忍小学校の北林伸造さんに取組の内容をお聴かせいただきました。個別学習の導入における「習得学習ノート」や「マスタリーラーニング」、「診断テスト」や「チェックテスト」「単元テスト」「まとめテスト」による学力実態の把握、基本的な学習内容の習熟と定着に向けての取組など、「効果のある学校」をめざしての布忍小学校の取組には学ぶことばかりでした。
 またその取組の中においても、従来から大切にされてきた地域や家庭との連携や部落問題の解決に向けての熱い思いが伝わってくる内容で、私たちの明日からの取組に生かしていきたいと思います。

第5講座 就学前教育

就学前教育では、奈良教育大学の豊田弘司さんから、「乳幼児期から青年期までの教育のポイント」と題してお話いただきました。乳幼児期からの発達を心理学的に分析することによって、それぞれの時期においてどのような支援が必要なのかを科学的に検証し、実践に生かしていくことの大切さを改めて確認することができました。
 また、資料としてこれまでの研究の中での発達段階ごとにおける生活習慣や学習習慣と子どもの発達との関係の調査結果なども提示していただきました。私たちのこれからの実践に生かしていきたいと考えます。

第6講座 豊かな人権教育の創造

 昨年の全同教分野別研究会でも報告された泉南市立鳴滝幼稚園から、舟橋みちよさんと吉田美智代さんに「ようちえんに忍者“たけぞう”がやってきた 忍者ごっこのとりくみを通して 〜仲間と共に育ち合う子をめざして〜」と題して実践報告をしていただきました。子どもたちの課題から「忍者」を登場させ、興味や意欲を持たせ、なかまと共に長期にわたってチャレンジしていく取組を地域の人々との出会いの中で進めていった取組でした。とても元気の出る取組で、小・中学校や高校においても明日からの実践に生かしていくことができる報告でした。

第1回課題別研修会「豊かな人権教育の創造」

 第1回目の課題別研修会として、吉田晃さん(田原本中学校)をお招きして、「部落史の授業展開について」と題してお話しいただきました。部落史学習というと難しさが先に立つのですが、これまでに様々なところで教材化されてきたものを有効に活用していくことで克服できるという視点を与えていただきました。また、地域教材の持つ子どもたちを引きつける力を再確認することができました。差別を無くしていくための取組としての部落史学習を、身近な題材を使ってすすめていきたいものです。

第1回人権教育推進教員・保育士研修会

 奈良県人権教育研究会前事務局長の中村衛さん(耳成小学校)をお迎えして、今年度の第1回目の人権教育推進教員・保育士研修会を行いました。中村さんから、「校区に部落を有しない学校」における人権教育の視点を提起していただくと共に、人権教育とりわけ児童生徒支援加配(人権教育推進)教員の状況を中心に、人権教育推進体制をめぐる現在の課題を提起していただくことができました。
 同和教育が切り拓いてきた人権教育の視点から、子どもたちや学校の課題を明らかにし、足下の現場から実践のうねりを創っていくことの大切さを今一度確認することができました。

講演録のサンプルはこちら>>>

第37回奈良市人権・同和教育研究会総会

 第37回総会が、5月17日に春日野荘にて行われました。代表参加での総会も2年目となりました。同和教育を基底とした人権教育の構築に向けて、昨年度の活動を振り返るとともに、今年度の方針を確認し合いました。

 北山会長の挨拶の後、来賓を代表して、奈良市行政から南田助役、奈良県人権教育研究会から成田副会長より挨拶をいただきました。
 議事では、2003年度の活動報告と決算報告ならびに新役員の承認に続き、2004年度の活動方
針と予算案について審議を行い、全ての議案が承認されました。

2004年度会長 森本明憲
深澤吉隆事務局長からの活動方針提案
2004年度 役員・事務局
役職名
名前
所属校園
連絡先
会長
森本明憲
奈良市立あやめ池小学校
0742-45-7461
副会長
湯浅育子
奈良市立朱雀保育園
0742-71-5185
佐藤一美
奈良市立大安寺幼稚園
0742-43-7032
谷原圭太郎
奈良市立富雄中学校
0742-45-4381
三谷誠一
奈良市立大宮小学校
0742-33-0031
事務局長
深澤吉隆
奈良市立飛鳥中学校
0742-22-1890
事務局次長
小倉美恵子
奈良市立都跡幼稚園
0742-33-5661
武田克之
奈良市立三碓小学校
0742-47-1546
田和善博
奈良市立都南中学校
0742-61-7079
会計
今西 聡
奈良市立鼓阪小学校
0742-26-5006
会計監査
藤次啓順
奈良市立大安寺小学校
0742-61-7067
木口 篤
奈良市立飛鳥中学校
0742-22-1890
記念講演
NPO法人夢街道・国際交流子ども館
          比嘉 昇さん
 記念講演では、NPO法人夢街道・国際交流子ども館の比嘉昇さんに「輝くために生まれてきたのだから」と題してお話しいただきました。
 教員生活を通しての経験を交えながら、不登校の子どもたちや厳しい現実の中を生きる子どもたちの理解とサポートについて、多くの示唆をいただくことができました。
 私たちの先達が「靴べらしの同和教育」を創ってきた、その内実につながる実践を学ばせていただき、明日からの実践に生かしていく力をいただくことができました。