【このコーナーでの学習のねらい】
戦前の軍国主義下で行われていた教育実践を,「忠君愛国」を基本精神とする天皇制の国体護持と,「五族協和」を名目とする対外侵略政策と関連させて説明できるようにする。
【学び方】
@以下の参考資料をもとに,戦時下の教育実践についての概要を整理する。
A日本国内の軍国主義教育と,海外の侵略地での皇民化政策について理解する。
1.戦争の時代へ
昭和初期,日本はひどい不況に見舞われ,農村での作物も凶作となり,東北の農村では「娘の身売り」が深刻化するなど危機的な経済状況を迎えた。
こうした情勢に対処すべく,日本政府は,窮乏する農村地帯の人々に「新天地の開拓」をすすめ,近隣諸国への進出を促した。例えば,「満蒙開拓義勇軍」などがそうである。「5族協和」というスローガンは名目に過ぎず,日本はこれ以後,アジアでの権益を拡大させていく。
1932年には,海軍の青年将校に首相が暗殺されるという五・一五事件が起き,次第に軍部の勢力が高まるとともに,政府は国際連盟を脱退するなど,国際社会から離脱する道を選んでしまった。二・二六事件,日中戦争,国家総動員法といった展開の中で,学校教育は極端に愛国心の教育や軍事教練などに傾斜していくことになる。
小学校は「国民学校」に改組・統合されたが,太平洋戦争が始まり,やがて戦況が悪化してくると,空襲などの被害から子どもたちの安全を確保する目的で,都会の子どもたちを集団で農山村地域へと避難させた。すなわち「集団学童疎開」である。
また,一方で日本は対外侵略を拡大させ,占領した土地では日本国民としての教育を受けさせる「皇民化政策」が徹底された。「日の丸」「君が代」や皇居の方角を向いて毎朝拝む「宮城崇拝」などが海外の住民にも強要された歴史の痕跡は,今でも日本語を話せる高齢者たちの存在によって再認識させられる。
彼らはまさに歴史の生き証人である。戦後60年を迎える今日、あらためて平和への願いと戦争の教訓を,新しい国際社会の建設に役立てたいものである。
2.戦時下の教育
資料 「修身」の教科書 PDFファイル…
ダウンロードしてください。
資料 「教育勅語」 PDFファイル…
ダウンロードしてください。
資料 「玉音放送」 PDFファイル…
ダウンロードしてください。