ロムニー氏の対日政策を探してみると


米共和党の大統領候補指名獲得が確実視されるロムニー前マサチューセッツ州知事が政権の座に就いた場合、対日政策はどうなるのだろうか。

答えを求めて、JRTは公表記録を探してみた。よく見積もっても、穏やかに軽視、といったところか。

Associated Press
ロムニー氏=フロリダ州デイトナビーチで開催されたNASCARスプリントカップ・デイトナ500で(2月26日)

ロムニー氏のアジア見解の大半を中国関連が占めていることは意外ではない。オバマ大統領にしても同じことだ。ロムニー氏のウェブサイトに掲げられているアジアに関する主要政策方針のタイトルは「中国及び東アジア」。しかし、この1410字に及ぶ政策方針書で日本への言及がわずか3カ所しかないことは、親日家の感情をやや損ねるかもしれない――米政府への日本の重要性が弱まっていることを常に気にしている外務省当局者は言うまでもなく。日本に関する最初の言及はこうだ。2010年に中国は「日本を抜いて世界第2の経済大国となった」。他の2カ所では、日本は米国のアジアの同盟国の1つとして言及されており、いずれも、韓国の後に挙げられている。

ロムニー陣営のアジア太平洋関連の3人のアドバイザーもこうした点を反映している。3人とも、東アジアでの広範な経験があるが、主に中国に焦点を絞っている。

ロムニー氏は、2010年に出版した著書「No Apology: The Case for American Greatness」で、長期に及ぶ米国のアジアの同盟国、日本に頻繁に言及している。その大半は特に好意的とは言えず、他の諸国と同様に、米国のシステムの優位さを示すために日本に言及しているものだ。

-自動車について:日本の自動車メーカーは1970年代に米市場に「侵攻した」際、米国の自動車メーカー各社と張り合ったと書いた後、「私の考えでは、私の2005年型の赤いマスタングコンバーチブルの外観と唸るようエンジン音に匹敵するようなものは何も日本からは生まれていない」と続けた。

-革新について:「革新にとって教育が重要なのと同様に、文化といった他の要因も非常に重要な役割を果たすことは、われわれにとって幸運だ。一例だが、米国民は失敗を恐れない。失敗しても、日本やドイツと違って、面目を失うことはない」

-ヘルスケアについて:「たとえば日本では、医者が薬局を所有することが可能で、薬局を所有している医者は、処方箋薬を処方するたびにわずかだが利益を得ている。一方、米国では医者は薬局の所有を認められておらず、これはいいことだ。日本の医者は、患者1人あたり米国の医者の2倍の処方箋薬を処方している」

ロムニー氏はさらに、日本政府が米国からそっぽを向き中国政府に向かいかねないと警告している。「米国のアジア大陸に対するコミットメントが弱まると日本が確信する場合には、米国から距離を置き、中国との同盟国関係を模索せざるを得なくなるだろう」と。

ロムニー氏が経営者だったころに、日本とのやりとりがあったかどうかは明らかではない。ロムニー氏が共同創業した投資会社ベイン・キャピタルの東京オフィスには、ロムニー氏の訪問の記録はない。ベインの東京オフィスは2006年に開設された。

ロムニー氏は06年12月、マサチューセッツ州知事としての任期の終わりに、少なくとも1回は日本を訪れている。当時、08年の大統領選への出馬を正式には表明していなかったものの、大統領選への出馬準備を進めているとみられていた。ロムニー氏の東京訪問――中国と韓国訪問も伴う――は外交政策の資質を磨く試みと報じられていた。

それ以外には、ロムニー氏の東京訪問は米国でも日本でもほとんど報じられなかった。06年12月6日付の朝日新聞が7面で、前日の東京でのロムニー氏の演説について短く報じた。「政治屋ではなく、皆さんと同じ一般市民だ」との引用付きで。さらに、同報道は、予定されていた米軍の撤退後のイラクの情勢不安をめぐるロムニー氏の懸念を引用した。その訪問でロムニー氏が日本について何かを語ったとしても、この報道には取り上げられていない。

ロムニー陣営の広報担当者は、コメントを求めるJRTからの電子メールや電話に返答していない。

英語原文はこちら≫

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コメント (3 / 3)

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    • 総じて共和党の大統領候補者というのは、外交音痴のような気がする。 自国内の金持ちや企業重視の傾向が強く、対外的には(武力を含む)強行論を展開、「軍事的な脅威」とは捉えていない国との対話は軽んじるという、大雑把なスタンスが特徴。(韓国をヨイショするのは、北朝鮮牽制のために過ぎない。w) 即ち、今の日本などロムニー氏の眼中には無くて当然。 ただ、考え様によっては好都合な相手であり、こちらから新日米安保条約の一方的破棄をチラつかせて地位協定の改訂など迫ってやれば、途端に(コワ面で)身を乗り出してくるだろう。www

    • オバマ氏は富裕層増税、社会保険の義務化を言うが社会保険制度そのものを見直す事を国民に言ってあげないと雇用も安定しないだろう。
      軍事勢力の維持もアメリカにとっては最重要である為引き続き継続して欲しいと思う。

      それに対しロムニー氏は富裕層減税を隠すように増税を言う。
      経営手腕の実績が国益に繋がる政策を作れるのか?と思えざるえない。
      外交に関して口軽な印象を受けた。内争にもなりかねない日本のねじれ国会を作りそうだ

    • あくまで記事を呼んだ感想だが、ロムニーという人は他国を軽視し、自国を過大評価しているだけではなく、外交上の問題についてもちゃんと勉強していないように思える。
      アジア訪問をしている割には、自分の眼でしっかり状況を見据えて分析しているようには思えない発言をしているようにも見える。
      現状から考えてアメリカがアジアへのコミットメントを弱めることは考えられないしアメリカから距離を置いて、国境問題で日本ともめている中国との同盟関係を模索するということは、普通に考えれば国益に照らして非現実的である。
      日本だけでなく、そのほかの友好国にとってもロムニー氏の大統領就任は残念極まりないものになりそうな気がする。












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