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下鴨の市街地化の変遷、京都府立大院生が調査

洛北高の塔屋屋上から望んだ下鴨地域の街並み(1953~54年、京都市左京区)=廣庭基介さん撮影
洛北高の塔屋屋上から望んだ下鴨地域の街並み(1953~54年、京都市左京区)=廣庭基介さん撮影

 京都市左京区の下鴨地域(旧下鴨村)で江戸時代末期から戦前にかけて市街地化がどのように進んだのかを、京都府立大生命環境科学研究科の辻晶子さん(24)が調べ、修士論文にまとめた。時代ごとに多様な街区形成がなされ、良好な住環境とともに近代独自の景観が形成されていった歴史が浮き彫りになった。

 辻さんは、下鴨神社所蔵の「旧大絵図」(1831~63年)と府立総合資料館所蔵の「京都市明細図」(1927~51年)などの史料と現地調査から、旧下鴨村の変遷をたどった。

 旧村一帯の土地は下鴨神社とその社家が所有していたが、1871(明治4)年の「社寺領上地令」で境内地が縮小、土地の従属関係が変化して田畑が住宅地へ変容した。昭和初期に住宅開発が急速に進み、ミニ開発で細い街路が北へ放射状に広がる一方、田畑の残った北部は土地区画整理事業で方形となり道路も拡幅された。

 近世、開発、土地区画整理事業とそれぞれに特徴的な街区が形成されたが、住宅形式には共通点があった。屋敷型には豊かな植栽が施され、長屋などの連棟型の一部も玄関を突出させるなど総じて立体的な外観を形成。店舗を持った町家型住宅が混在しながらも近代住宅として統一感のある景観で、現在もその面影を伝えている。

 辻さんは「下鴨の街並みは、統一感のあるたたずまいと良好な住環境が形成された近代の住宅地として歴史的価値がある」といい、指導を担当した大場修教授は「町家と比べて明治以降の近代住宅は注目されていないが、この論文をきっかけに評価が進んでほしい」と話している。

【 2012年05月08日 16時00分 】

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