コンテンツは自分たちで作り、自分たちで盛り上げるという仲間意識に支えられたニコ動は、「与えられるのではなく生産する」という新たなコンテンツとの付き合い方を示し、初音ミクという商業世界で通用するコンテンツも生んだ。
だが、それがニコ動のすべてと考えては本質を見誤る。「アニメオタク」や「萌え・美少女オタク」の集まりだと断じてしまうのはもっと危険だ。元来オタクとは、特定のジャンルにのめり込む趣味人、好事家のことであり、アニメに閉じた好事家だけを指す言葉ではない。自らの手でコンテンツを生み出そうとする若者は、あらゆるジャンルに存在する。「多様性」が許容されている世界なのだ。
その多様性による分断を防ぎ、ジャンル同士の交流を促すことも、超会議の大きな狙いだった。もっともニコ動ユーザーは日ごろからその連帯感を強めつつある。ニコ動がテレビと大きく違うのは、多様性があると同時に、「共感」で視聴者がつながっているということだ。
■互いのジャンルを認め合い共存共栄
チャンネル数が限られる地上波テレビは「お笑い」「ドラマ・映画」「音楽」といったマスの最大公約数をとったコンテンツを並べざるを得ない。しかも、出演するのはごく少数のトップスター。新旧交代はあるものの、売れない芸能人がピラミッド構造の頂点にたどり着くまでには何年もの時間がかかり、一度頂点に立ったスターはなかなか山を降りない。
ニコ動にも人気ジャンルやスターは存在する。だがニコ動は、ピラミッドの頂点が欠け、中間層が厚い(熱い)世界。人気コンテンツの新陳代謝のスピードは人間に対するマウスのように早い。このカオスの世界であるニコ動での人気を決めるのは、運営会社のドワンゴではなく、再生回数や動画を流れるコメントを軸とした共感にほかならない。
再生数やブックマーク機能の「マイリスト」、コメント数が多いほど、動画や生放送はランキング上位に浮上する。このランキングやコメントの文言、そしてニコ動ユーザーとしての連帯感が横串となり、互いのジャンルを認め合いながら共栄共存しているのだ。彼ら彼女らは、ちゃんと「まとも」な感覚を備えている。
確かに、動画を流れるコメントには、低俗な言葉や罵詈(ばり)雑言も少なくない。これに嫌悪感を覚える大人もいる。だが、現実世界にも汚い言葉は吐いて捨てるほどあふれている。それが可視化されただけだ。しかもニコ動のほとんどのユーザーは、そうしたコメントを「スルー」する所作を身に付けている。嫌なユーザーのコメントを「NG機能」で消すのは造作もない。それよりも、コメントは共感を伝える道具として、大きな役割を果たしている。
■日本文化を愛でる若者たち
三味線、詩吟、落語、手妻師……。最近、ニコ動の若者が認めつつあるのが、日本古来の伝統文化だ。ニコニコ超パーティーで初音ミクなどバーチャルアイドルのライブに勝るとも劣らぬ盛り上がりを見せつけたのは、琴、三味線、尺八、和太鼓など、着物を着た和楽器の演奏者が並び、女形が舞踊し、演歌のような楽曲を披露した時だった。
初音ミク、ボーカロイド、きゃりーぱみゅぱみゅ、田村淳、ニコニコ動画、川上量生、夏野剛、ドワンゴ
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