ニコ動にはジャンルごとに好事家が集まり、部活のように総称する文化がある。「作ってみた」という人気ジャンルでは、ぬいぐるみなどを作る手芸部やアクセサリーを作るシルバー部のユーザーが、その場で制作実演するワークショップを開催。技術部のメンバーは紙で作った等身大の初音ミクから工業用レーザーでアクリル板を切り出したオリジナルキーホルダーまで、「プロの仕業」の作品を展示し、即売会で作品の販売もなされた。
「ニコニコ言論コロシアム」というブースでは「音楽著作権の未来」や「クール・ジャパン」などをテーマとした討論会が開催され、ニコ生でも中継された。「ニコニコ学会」のブースでは、「光学迷彩」を開発した慶応義塾大学大学院の稲見昌彦教授や、ボカロの歌い声をさらに人間に近づけたソフト「ぼかりす」を開発した産業技術総合研究所の後藤真孝上席研究員など多数の研究者・技術者が討論会に顔を出した。これらの中継は2日間で延べ8万人が視聴している。
ニコ動の面白さはボカロやダンスだけじゃない。その「多様性」の具現化こそが、4億円もの赤字を垂れ流してでも大会議を強行した真の狙いだ。
■「いつまでネットに閉じこもってるの」というメッセージ
これまでドワンゴは、歌い手や踊り手に光を当てるライブイベント「ニコニコ大会議」を数年にわたって繰り返してきた。ダンスに焦点を当てて欲しいと要望され「ニコニコダンスマスター」というイベントを、生主から「俺達にも機会を」と要望されナマケットというイベントも始めた。するとまたほかのジャンルのユーザーから「なんで僕たちのカテゴリーは取り上げてくれないんだと」不満がでる。
「だったら、もう全部、詰め込もうと。これだけやれば、とりあえずはユーザーも努力をしたと認めてくれるかなと」。そう川上会長が思い立ったのが、リアルのイベントスペースとして国内最大規模の幕張メッセの借り切りだった。それは同時に、歌い手や踊り手など派手なジャンルとは違い、地味なジャンルで活躍するユーザーに対するメッセージでもある。
「君たちいつまでネットに閉じこもってやってるのと。そういうメッセージ。超会議というリアルの場所に仲間が出ていたら、それに触発されるユーザーがまだ出てくると思う」
そう話す川上会長はニコ動を始めてから今まで、「才能あふれるネットの住民に稼げる場所を与える」をテーマに掲げている。ネットが普及して以降、ネットに閉じこもり、ネットでしか自己表現ができない若者が加速度的に増えた。ただ彼ら彼女らは決して無能なわけではない。
■コンテンツは自分たちの手で作り、育てる
ユーザー同士や社会との接点を作り、認められる機会を与える――。それこそがニコ動の根幹に流れる通奏低音といえる。ボカロなどのジャンルではプロになって活躍する事例が出てきた。だがそれはニコ動を支えるユーザーのほんの一握りでしかない。あらゆるジャンルに平等な機会を設け、ユーザー同士の交流を通じて社会進出を後押しする。それが大会議でやりたかったことなのだ。
初音ミク、ボーカロイド、きゃりーぱみゅぱみゅ、田村淳、ニコニコ動画、川上量生、夏野剛、ドワンゴ
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