2010-02-21 22:44:46

ここは蟲のうごめく世界

テーマ:動物、古生物うんちく

身体をキチン質でできた殻(外骨格)で覆われ、
脚の間接に節のある
圧倒的な数種を誇る大グループがある。


「節足動物」


川崎悟司 オフィシャルブログ 古世界の住人 Powered by Ameba-全動物種の節足動物の割合

この世界に生息する(名前をつけられた)全動物種
の実に85%がこの節足動物が占めるのだという!


そんな圧倒的な種数を誇る節足動物を米メリーランド大などの研究チームが
節足動物の主要な系統から75種を選び、62種の遺伝子を比較するという
過去最大規模の遺伝子解析を行い、その進化系統を明らかにし、
英科学誌ネイチャー電子版に13日までに発表したという!


時事ドットコム 2010年2月13日
http://www.jiji.com/jc/zc?key=%c0%e1%c2%ad%c6%b0%ca%aa&k=201002/2010021300047


川崎悟司 オフィシャルブログ 古世界の住人 Powered by Ameba-遺伝子解析による節足動物の系統図

今回の遺伝子解析により解明された節足動物の系統図


節足動物は昆虫甲殻類多足類鋏角類
4大グループに分けることができるだろう



■昆虫■■■■■■■■■■■■■


川崎悟司 オフィシャルブログ 古世界の住人 Powered by Ameba-昆虫

「六脚類」とも呼ばれ、6本の脚を持つのが
大きな特徴。
頭部と運動を司る胸部、内臓を収めた腹部と
綺麗に分化かれており
体のつくりは合理的で無駄のないシンプルな構造だ!


節足動物の中ではもっとも新しいグループだが、
とにかく
全動物種の75%はこの昆虫が占めているといわれており
節足動物のほとんどがこの昆虫で占められていると
言っていいだろう!


水生昆虫という淡水に棲むものもいるが、ほとんどが
陸地に生息する。
まさに陸圏でこの昆虫がぎっしりと「超」がつくほど繁栄している!



■甲殻類■■■■■■■■■■■■■


川崎悟司 オフィシャルブログ 古世界の住人 Powered by Ameba-甲殻類

おもに海や淡水といった水域に生息する。
陸上であれだけ優勢な昆虫が海に生息できないのは
この甲殻類が海で多くのニッチを占めているからと
言われている!
しかし甲殻類は陸上にも生息しており、その生息域は幅広い。
そのため、その姿もバリエーションに富んでおり、
カニやエビ、フジツボ、陸棲のダンゴムシも甲殻類だ。



■多足類■■■■■■■■■■■■■


川崎悟司 オフィシャルブログ 古世界の住人 Powered by Ameba-多足類

陸にしか生息していないグループ。そして
あまり目立たない。(個人的にもっとも苦手)
昆虫と同じく触角は1対あり、甲殻類は触角が2対。
この違いから、形態的に昆虫とこの多足類は
近縁だといわれてきた。


川崎悟司 オフィシャルブログ 古世界の住人 Powered by Ameba-形態分析と遺伝子分析との違い

しかし、
20年前から行われた遺伝子解析により、
多足類よりも甲殻類の方が昆虫に近縁であることが
判明している。
おそらく、形態的に似ているのは
太古に多足類と昆虫はそれぞれに陸に進出し、
陸生への進化の過程で収斂進化したものと考えられる。



■鋏角類■■■■■■■■■■■■■


川崎悟司 オフィシャルブログ 古世界の住人 Powered by Ameba-鋏角類

昆虫、甲殻類、多足類との違いは
触角を持たず、顎を持っていないことがあげられる
4大グループの中でも最初に分岐した古いグループとなる。


まだ昆虫が現れていなかった時代。
古生代シルル紀の海で3mもある史上最大の節足動物の種を
有し、食物連鎖の頂点にいたウミサソリがおり、
海で甲殻類と勢力を争うほどに繁栄していたと
いわれている。
しかし、現在では
陸では昆虫、海では甲殻類に勢力を押され衰退し、
クモ、ダニ、サソリ、カブトガニなどがいるほどだ。


そして・・・。

現在では節足動物の4大グループだが、
太古にはもうひとつの大グループがいた!

生物種の95%が絶滅したという
あのペルム紀末の大量絶滅で姿を消したグループ・・・。


三葉虫だ!


■三葉虫■■■■■■■■■■■■■


川崎悟司 オフィシャルブログ 古世界の住人 Powered by Ameba-三葉虫

完全に絶滅したグループ
今では化石としかその存在は知り得ない。
古生代の地層で化石がもっとも多産しており、
その地層を知る上での示準化石として重視されている。

そういうわけで
古生代の海でもっとも繁栄したグループだった
ことは想像にたやすい!


とにかく、

この世界は今も昔も変わらず
蟲たちがうごめく世界であるということは

いうまでもない!



コメント

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1 ■無題

今回はムヒムヒシリーズで
さぶいぼ出しながら読ませていただきました。

2 ■不気味かつ優秀な

小さい頃ほど虫は好きではありませんが、興味はあります。たまにトンボなどを見かけると、新鮮な気持ちになりますね。(昔よくカマキリの捕食するとこを面白がって、飼ってたっけな・・・トンボは尻尾にヒモつけて散歩・・・今思えば残酷だぁ)実際に苦手なクモやムカデでも、こうして全体的な図にすると面白いものですね。昆虫と言えば、カブトムシのような完全変態などする者って、いつどんな条件でああいった変化をするようになったんだろう?ってつい思いますね。(カニなんかは幼生時の姿が変わってますが)

3 ■無題

小さい頃にかってもらった
三葉虫の化石は宝物です

4 ■プライミーバルで

シルル紀の巨大サソリの回を思い出しましたが
アレ、本当にいるんですか?
あの回の巨大サソリですが
沖縄のサソリモドキとウデムシを足したような
外観でしたね

5 ■無題

サソリとエビ・カニって遠いんですね!
意外だなあ。収斂進化ってことですかね。

節足動物ってどうもわからないのが呼吸なんですが、
(昆虫はわき腹だったかどこかに呼吸孔があったような…。)
甲殻類はどうなってるんですか?
カニなんか深海で暮らす者もいますよね(タカアシガニなど)、
ならエラ呼吸かなあ、と思いきや、
シオマネキとかオカヤドカリはどうなってるんだろう…と思います。


いやー、しかしムカデは気持ち悪い。

6 ■うわあ(-"-;)

蟹とか海老って、


海中の虫だったんですね…


ううう
ぞくぞく(・_・;)

7 ■節足動物LOVE

一般にあまり好かれないクモですが、
自分は結構好きです。
カブトガニと同じグループと知って
ますます好きになりそうです。
甲殻類もLOVEですね。
小学生時代にザリガニやカニを
飼っていたせいなのか、
好きだから飼っていたのか・・・。

8 ■蟲

蟲は適応能力が優秀ですからね。太古の昔から生き続け、今もなお存在しますからね。しかも、地球のほとんどの生物の割合を占めてますからね。

そのうち、「風の谷のナウシカ」みたいなことが起こるかも知れませんね。

9 ■ムシムシ

節足動物が地球上でこれだけ繁栄しているのに、陸で海でも一mを超えるよな猛者な節足動物がいないのは、やっぱり、天敵が多すぎるからかな。それとも、体の構造上の問題?
まあ、いたら、気持ち悪!ってなりいますけどw
でも、そんな虫を見てみたいと思ってしまいますw

あと、ブログには関係ないことですが、ミズダコの体長の表記が3~5cmになってましたよ(^-^)

10 ■無題

この地上の本当の支配者は彼ら昆虫、あるいは植物なのかもしれませんね・・・

11 ■無題

昔のでかいウミサソリとかはやっぱり蟹とかみたいにおいしいのかな・・・。

気になる・・・。

12 ■きゃっきゃ

アノマロカリスやオドントグリフィスはどれと一番近いのか、気になります。
あっという間に分かれて巨大化した昆虫たち。
彼らの適応能力は尊敬に値しますね。

13 ■今度は節足動物かぁ…

確かに地球で種類や数が多いのもこれらの動物やし…o(^-^)o

で…サソリやクモの仲間と甲殻類は外見が似ていても全く違う種類なのを改めて認識しました。

それでは話しをこれで終わらせます。m(__)m

14 ■無題

そう言われて見れば昔見た漫画みたいな虫の本で
「昆虫は地球上でもっとも多い種類」っていうのを思い出しました。
それにしてもフジツボが昆虫に近いとは…
>マッコウクジラ雁ノ介さん
足の長さからしてスティロヌルスあたりがモチーフじゃないでしょうか?

15 ■昆虫も古世界の住人でクローズアップ。。。嬉しいです

こん○○は。昆虫…。
確かに地球上で最も繁栄している一族ですし、
生物の進化を考える時に
欠かす事のできない存在だと思います。

昆虫は、研究が進んでいるようで、
未解明な部分も多いのではないかと、思えます。

昆虫は、とてもシンプルなルールによって
生活している様に思えます。
例えば私たち動物は、『ケースごとに判断して行動をする』
様に作られている様ですが、
昆虫の場合は『ケースごとに設定された一定の行動をする』
様に作られている様に感じます。でも、それで
繁栄している訳ですから、効率は良い生き物なのだと思います。

これから昆虫のどういう化石が発見され、
昆虫の何が研究されていくか、個人的にはとても興味が有ります。
また、川崎悟司様、スタンダードのイラスト画風で、
昆虫も楽しめると思うと、ワクワク感で一杯です。

16 ■節足動物が巨大化できない理由?

>オサル様
>節足動物が地球上でこれだけ繁栄しているのに、陸で海でも一mを
>超えるよな猛者なが節足動物がいないのは、やっぱり、天敵が多すぎる
>からかな。それとも、体の構造上の問題?

節足動物は基本的に外骨格なので、巨大になるためには、
脱皮をかなりの回数、行わなくてはいけなくなり、
巨大化にはある程度の制限が掛かるとか、何かで読んだ事が有ります。
(脱皮するには、かなりのエネルギーが必要だし、脱皮中は無防備に)

巨大化には、元々アンモナイトの様な外側に殻の有ったイカ類が、
現在では体の中に殻の痕跡を残す…みたいな進化が必要かも知れません。
まあ動物の体も頭蓋骨部分は外骨格なんですけどね…。

17 ■無題

ちょこっと面白い記事を見せて頂きました。☆-( ^-゚)v
何時もながら、現生・絶滅を問わず、興味深い節足動物各種(例えば巨大な節足動物とか世界の面白い昆虫)のイラストを密かに楽しみにしてまっせ。(≡^∇^≡)このページも見て下さいね。↓
http://en.wikipedia.org/wiki/Largest_organisms#Arthropods_.28Arthropoda.29
http://kawekaweau.deviantart.com/art/New-MEGA-Artropods-Scale-77699028

18 ■みつばむし

おもしろいお話ありがとうございました。
ところで三葉虫って、以前はカブトガニが近縁みたいなことどっかで読んだ憶えありますが、三葉虫には触覚があるからむしろムカデなんかのほうが近いのかも。
まぁこれも遺伝子を調べたら(できるか!)

19 ■拙速動物なら私ですが?

節足動物最大の業績は「空への進出」ではないか、と思うことがあります。

>みつばむし
殻でダシをとった吸い物に、身を茹でて散らすんですね?

20 ■巨大昆虫の時代

昆虫ってなんかで読んだのですが
酸素の濃度が多い方が巨大に成るって
そのために 海での繁栄がなかったのでしょうか
高酸素の環境で育てれば
現在の昆虫も巨大になるのかな
なんて その記事を読んだ時に
想像しました 
それと 蜘蛛は好きですが
百足は苦手(何度も咬まれてるので)

21 ■たしかに・・・

海洋芽鷹さん
>マッコウクジラ雁ノ介さん
足の長さからしてスティロヌルスあたりがモチーフじゃないでしょうか?>>
海洋芽鷹>>
言われてみればたしかにスティロヌルスに似てますね

22 ■無題

一見エビよりもクモのほうが昆虫に近そうですがコレは意外ですね。
でも特徴の説明を見れば納得です。確かにクモには触覚がないですもんね。ムカデエビってのははじめて聞きました。こんな生物がいるとは・・
川崎さんがムカデが苦手ってのは意外でした。生物好きでも苦手はあるもんですね。私もコウガイビルやプラナリアはどうも苦手。
三葉虫ってこの図でいうとどこに入るんでしょうね。彼らも触覚や複眼があるから結構進化した種類に見えますが・・

23 ■無題

オサルさん

>節足動物が地球上でこれだけ繁栄しているのに、陸で海でも一mを超えるよな猛者な節足動物がいない
>まあ、いたら、気持ち悪!ってなりいますけど

現代において、現存する種で「1mを越す」とか、「1kg以上」とか言われるような、巨大な節足動物というと、思い当たるのは例えば…
伊勢海老、ロブスター、タカアシガニ、タラバガニ…

あれ、気味悪がられるどころか人に食われているぞ???
結局でかくなってもこんな扱いか…節足動物…

24 ■無題

確かに既知の種数で節足動物は圧倒的です。
しかし、未知のものも含めると線形動物が上回るという説もありますし、微生物も含めてバイオマスで比較すればユリアーキオータ門あたりが最大のグループになりそうな気がします(一つの門として扱っていいのかは不明ですが)。

結局のところ、知られている範囲は全体からすればまだまだ氷山の一角なのだと思います。

25 ■コメントありがとうございます!

>きりぃさん
ゴキブリはまだ大丈夫なんですが、
ムカデだけはさぶいぼ出てしまいます

>karukitiさん
トンボにヒモをつけて散歩。考えたことありますね。
昆虫の完全変態もいつああなったのか興味ありますが、
エビみたいな幼生からフジツボになるのも
すごいですね。

>りょーさん
三葉虫の化石は日本からあまり産出されないそうです。
大事にしてください。

>マッコウクジラ雁ノ介さん
海洋芽鷹さんの言われるとおり、スティロヌルスあたりの歩行型ウミサソリだとおもいますね。

>chestnerさん
カニやエビはエラ呼吸ですね。
オカヤドカリは身につけてる貝殻の中に水分を
含ませ、エラ呼吸を可能にしているのだとか。

>みっきー☆さん
エビやカニは虫とは言い難いですが、
ここでは私が節足動物のことを虫としています。

>銀河☆無宿さん
私もアメリカザリガニは昔、よく飼っていました。
ニホンザリガニは今はもういないのかな。

>牛王さん
脊椎動物の衰退と酸素濃度が高くなれば、
ナウシカの世界になるかも。

26 ■コメントありがとうございます2!

>オサルさん
外殻で体を支えるという構造が体を大きくできないのが理由らしいです。
やはり脊椎動物のような芯で支える方が
大きくなりやすいようですね。
ミズダコの体長表記のご指摘ありがとうございます。
修正します。

>hsさん
昆虫は影の支配者というような感じですね。
体が小さいから目立たないだけで。

>RSさん
ウミサソリはカブトガニと同じ仲間ですから
ちょっとドブくさいかも。

>えりさん
オドントグリフィスは貝類かもしれないとのこと。
アノマロカリスはほぼ節足動物ですが、
今の系統とは異なる絶滅したグループかも。

>鋼翼飛龍さん
サソリやクモは昆虫にも似てると思います。
やはり同じ節足動物の仲間なんですね。

>海洋芽鷹さん
昆虫の種類は圧倒的ですね。
フジツボ(甲殻類)が昆虫に近いというのも
意外ですが、その変体ぶりもすごいですね。

>メカ大好き!さん
ライオンとかは自分の遺伝子だけを残そうと
他人の子を殺したりしますが、
昆虫は合理的な組織団体みたいで、個人より
組織をまず優先といったイメージがあります。
また昆虫のイラストも描いていきたいと
思います。

>羊さん
昆虫は形態も面白いものが多いので
ぜひともイラストで紹介できればと思います。

27 ■コメントありがとうございます3!

>ポケット保持さん
三葉虫は遺伝子はさすがに調べられないですね。
なので触覚があるから、ムカデに近い可能性だってあるかもしれません。
三葉虫の生き残りがムカデなんて話がでてきたら
面白いなぁ。

>黒燕さん
空に進出した初めてのグループは昆虫ですからね。
今や空飛ぶ昆虫の多いこと。改めてすごいと思います。

>☆ロン★彡さん
昆虫の気門による呼吸は体全体に酸素を送り込むのに
効率が悪いと聞いたことがあります。
だから体の大きさに制限されるとか。

>manziさん
三葉虫はカブトガニなどの鋏角類に近いと聞きます。
触覚は三葉虫にはありますが、鋏角類で退化した
とのこと。
私は昆虫と甲殻類は全然大丈夫なんですが、
細長い系はなぜか駄目ですね。
コウガイビルはもちろんのこと、ヘビも苦手です。

>名無しさん
これらのグループで巨大化して気味悪がられるもの
アースロプレウラやプロトファスナなら、
さすがに気味悪がられると思いますね。

>Ydditさん
研究が進んでないだけで
線形動物の方が種類が多いと聞きますね。
このあたりの学名をつけて分類していくといった
挑戦をする学者さんがいないのかな。
あまりにも膨大すぎて人生の大半を費やしても
難しいのでしょうね。

28 ■無題

カンブリア期の動物群を見てみるとほとんどが外骨格ですよね、それが今の生物群の基礎になったことを考えると、むしろ殻つきが多数派なのは当然かも。
内骨格なんてピカイアとミロクンミンギアと後どれって感じだし。

29 ■Re:無題

>karonさん
カンブリア紀だと圧倒的に外骨格系ですね。
体に芯で支える動物はほかにユンナノズーンとか
例を挙げるとあまりありません。

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