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GENDAI*ART 創刊ゼロ号:CHAOS*LOUNGE
商品の説明
雑誌
サイズ:A4 / 24P
発行:CHAOS*LOUNGE
著者:CHAOS*LOUNGE
発売日:2012年3月11日
CHAOS*LOUNGEがお届けする、もっとも苛烈なインディペンデント・アートマガジン『GENDAI*ART』。
気鋭の論者たちによるアクチュアルな言説と、CHAOS*LOUNGE主力アーティストによるアートワークを誌面上でミックス。
アートと言葉の力が結託した、新しいアートシーンを支えるプラットフォームのためのアートマガジン。
「創刊ゼロ号」である今回は「アーティストはどこにいるのか?アートはどこにあるのか?」というテーマを掲げ、震災後のアートのありかたを考える。
巻頭特集として、演出家・高山明との対話を収録。『個室都市 東京』や『完全避難マニュアル 東京版』などの作品で常に注目を集めていた高山が震災後に発表した『Referendum - 国民投票』について、そしてこれからの演劇の可能性、作品構想について語る。
そのほか、新進気鋭のアーティスト、大山エンリコイサムによるストリートアート論も収録。ストリートアートの言説が枯渇するなか、匿名性の問題を切り口に先例のないアクティブな論へと一歩を踏み出す力作。表紙には梅沢和木の最新作を、さらに誌面ギャラリーとして、一輪社、二艘木洋行らの最新作も。
高山明 × 黒瀬陽平
アートのシグナル、暗号(code)としてのアート
黒瀬:創刊ゼロ号を作るにあたって「アーティストはどこにいるのか?アートはどこにあるのか?」というストレートなテーマを掲げることにしました。このタイミングに創刊するということは当然、「<震災以後に> アーティストはどこにいるのか?アートはどこにあるのか?」という意味なのですが、ぼくのなかで真っ先に浮かんだ「アーティスト」が高山さんでした。
ぼくが高山さんの作品を最初に体験したのは、2009年のフェスティバル/トーキョー(F/T)主催作品『個室都市 東京』です。個室ビデオ店と出会いカフェをイミテートした展示は、当時のぼくにとってすごく刺激的だっただけでなく、ツイッターを中心にジャンルを超えて評判が広がっていました。その年明けにぼくは「カオス*ラウンジ宣言」を出し、その後『破滅*ラウンジ』展をやったんですが、その会場に高山さんが来てくれたのが最初の出会いで、そこからはずっと、ことあるごとに高山さんと対話を重ねさせてもらっています。
大山エンリコイサム
匿名性の遠心力――落書きの歴史的空間をめぐって
1 はじめに――ストリートアートの困難と南三陸町の「AUS」
これから日本の文化はどうなっていくのだろうか。東日本大震災が日本における社会的・歴史的な分水嶺であることは否定できないし、復興支援や福島をはじめとする原発の問題、東電や政府の対応、海外からの注目など、さまざまな意味で日本が置かれている特殊な状況のなかには実践的に応答すべき喫緊の課題も多い。だが、こと文化的な事柄に関しては、性急な決断を下すことへのためらいを感じずにはいられない。むしろ正直に言えば、「文化」という広大かつ曖昧な事象がどのように変わっていくかなど、現時点で僕には見通しが立たないというのが正確なところだろう(ましてや、字数に限りがあるこの場ではなおさらである)。
さらに言えば、僕が専門としている美術、特にストリートアートの分野では、そもそも日本において歴史的な言説の枠組みが形成されてこなかったという経緯がある。つまり、「以前」と「以降」を想定すること自体が困難をはらんでしまう。この問題は、しばしば戦後の日本文化について指摘されてきたことでもあるが、かりそめの言説どころか言説そのものがほぼ皆無に等しいストリートアートにとって、その困難さはさらに際立っている。従ってここでも、3・11以前/以降という図式を素朴に採用するわけにはいかず、むしろそこにマークされたひとつの「/」のまわりをへめぐる運動のなかで、まずは思考を立ち上げることにしたい。
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