トップ > 静岡 > 5月12日の記事一覧 > 記事
【静岡】架空の社債販売装い詐欺 浜松で未遂事件容疑の男再逮捕組織型見えぬ“主犯”社債販売を装った詐欺事件で、浜松中央署は十一日、詐欺未遂の疑いで埼玉県草加市、無職藤井綾人容疑者(20)を再逮捕した。同署は、背後に複数犯のグループがあり、藤井容疑者は受け取り役だったとみて全容解明を進める。 逮捕容疑では、四月二十日午後五時半ごろ、浜松市中区のホテルで、同区の無職女性(69)から営業実態のない「明和ホーム」の社債購入名目で一千万円を詐取しようとしたとされる。 直前に多額の現金を下ろそうとした女性の行動を不審に思った金融機関が同署に通報。女性と接触した藤井容疑者から事情を聴いていた。 藤井容疑者は、愛知県内の無職女性(69)から同日に三千三百万円をだまし取ったとして詐欺容疑で逮捕、送検されていた。静岡地検浜松支部は十一日、詐欺容疑について処分保留とした。 藤井容疑者が関与したとされる社債詐欺事件は、複数の人物が登場して投資意欲をあおる犯行だった。現行犯逮捕のリスクが高い現金の受け取り役には、“アルバイト”である藤井容疑者が使われていたとみられる。 捜査関係者によると、愛知県内の女性宅には三月初旬、レアメタル(希少金属)の回収事業をうたう東京都内の会社から、社債購入を勧めるパンフレットが届いた。「毎月8〜18%の利息が振り込まれる」と記されていた。 大手証券会社を名乗り「社債があれば数倍の価格で買い取りたい」との電話も複数回あり、女性は「価値ある社債」と確信。電話で社債購入を申し込むと「あなただから売る」などと特別扱いされた。しかし、会社に営業実態はなく、住所も入居実態のない「バーチャル事務所」だった。 藤井容疑者はインターネットで「一日で稼げる仕事」を見つけた。逮捕当日の朝、教えられたJR品川駅のコインロッカーから携帯電話と交通費四万円を入手。指示通りに名古屋に向かい、午後三時ごろに女性宅で三千三百万円を受け取った。その後、再度の指示で浜松市内の女性と接触したが、金融機関の通報で警戒中の捜査員に逮捕された。 「生活費が欲しかったから」と容疑を認める藤井容疑者。途中で犯罪行為を疑ったとも供述したという。 捜査関係者は「犯行グループにとっては捨て駒みたいなもの。よく知らない相手に身分はさらさず、互いに面識はない可能性もある」とグループの全体像解明の難しさを漏らす。 国民生活センターによると、金融機関以外の販売勧誘による社債の相談件数は、昨年度八千九十五件で、二〇〇九年度の六倍近くに急増している。担当者は「相談を受けた限り、昨年二月の時点で社債の買い取りが実行されたことはない。それ以降も恐らくないと思う。買い取り業者が登場して『高値で買い取る』の約束は守られない」と断言する。 犯行グループについて、消費者問題に詳しい静岡県内の弁護士は「振り込め詐欺グループが警戒を防ぐため、社債詐欺を始めたようだ」と分析。さらにグループの一員が独立し、新たなグループが生まれているとみている。 PR情報
おすすめサイトads by adingo
|