福井・大飯原発:再稼働新試算、地元に判断迫る 唐突で不信拡大も
毎日新聞 2012年05月11日 大阪朝刊
今夏に大幅な電力不足が予想される関西電力管内の需給見通しについて、政府は10日、関電大飯原発3、4号機(福井県おおい町)が再稼働すれば、企業や家庭の節電努力と合わせ、電力不足をほぼ解消できるとの新たな試算を公表した。政府は再稼働なしの場合、関電管内で大幅な節電目標を設け、目標を下回った企業に罰金を科す電力使用制限令の発動を検討中だ。再稼働に慎重な姿勢を示す関西自治体への調整が難航する中で示された新試算は、事実上、「再稼働か、使用制限か」を迫るものと言える。
関電は従来、大飯再稼働でも夏場に電力が5%程度不足するとしていただけに、「再稼働=電力不足解消」との新試算には唐突感が否めない。説明不足のまま政府の「再稼働ありき」の思惑が先行すれば、周辺自治体の京都府や滋賀県、大阪府などの不信感を増幅しかねない。