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■ 秋田のニュース:社説

社説:夏の電力需給 節電対策を早急に示せ

 夏の電力需給について政府の予測が示された。有識者による検証委員会が“埋蔵電力”の掘り起こしを目指したが、大幅な供給量の上積みは見込めず、西日本を中心に昨年以上に需給が厳しくなると結論付けた。

 企業や一般家庭が節電に協力しない限り、混乱なく夏を乗り切るのは難しい。節電への準備と協力が進むよう、政府は原発再稼働に執着せず効果的な対策を早急に明示すべきだ。

 需給見通しは、原発が再稼働せず一昨年並みの猛暑になった場合を想定。8月に関西、北海道、九州の3電力管内が電力不足に陥るとした。特に関西はピーク時に15・7%(473万キロワット)不足するというから深刻だ。

 政府は関電大飯原発3、4号機(福井県おおい町)を再稼働させれば、関西の不足分を0・9%に縮小できるとの見通しも示した。緊急時に企業への送電を制限する「需給調整契約」の効果を加味すると、1万キロワットの余力が生まれるという。

 しかし、この政府見通しには疑問を抱かざるを得ない。そもそも検証は再稼働なしが前提だったはずだ。供給量増強が難しいとの認識が委員に広がる中で示された見通しは「何としても原発を動かしたい」という政府、関電の意図が見え見えで、納得できるものではない。

 関電は「大飯原発を再稼働しても5%以下の供給不足になる」と説明していた。それがわずか1週間で数字が大幅に変わった理由は明確でなく、批判が出るのも当然だ。

 仮に再稼働させるにしても、政府はしかるべき手順を踏んで安全性を担保した上で、福井県や電力消費地の関西圏などの理解を得る必要がある。電力使用制限令などをちらつかせ、なし崩し的に原発を再稼働させることは許されない。

 関西圏の首長らの多くが大飯原発再稼働に慎重姿勢を示している以上、原発なしを前提とした対策は急務だ。需給調整契約の普及拡大のほか、節電を促す新たな料金体系、節電実績に応じて利用者に対価を支払う「ネガワット取引」などが有効だろう。政府と関電はピーク時に電力需要を下げるあらゆる手段を検討し、実効性ある仕組みを構築しなければならない。

 需給逼迫(ひっぱく)は関西だけの問題ではない。北海道は3・1%、九州は3・7%それぞれ不足が見込まれる。東北は2・9%のプラスだが、既存の発電施設がフル稼働する夏場には、ひとたびトラブルが起きれば電力不足に陥る恐れもある。緊急時に電力各社が電力を融通し合えるよう、可能な限り供給力に余裕を持たせておくことが肝要だ。

 節電はこの夏も全国的に取り組まなければならない課題となる。エアコンや冷蔵庫の温度設定、照明の間引き、待機時消費電力カットなど無理のない範囲でできることは少なくない。いま一度、無駄な電力を省くために知恵を絞りたい。

(2012/05/12 付)

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