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政府、他社節電分融通で関電の強制節電回避へ

西日本4社に5%節電要請


政府が検討している今夏の節電対策案がわかった。原子力発電所の再稼働がなければ深刻な電力不足が見込まれる関西電力管内に融通する目的で、西日本では供給余力のある電力会社の管内に一律5%の節電目標を定める。これにより関電管内への電力使用制限令など強制的な節電手段の発動を回避する。政府は関係省庁によるエネルギー・環境会議(議長=古川国家戦略相)を開き、来週中にも決定する。

 西日本は電気の周波数が同じで電力会社間の融通がしやすい。西日本の節電要請は、猛暑だった2010年比で関電管内を15〜20%、関電と並び電力不足が見込まれる九州電力を12%程度とするほか、中部、北陸、中国、四国の4電力会社に5%ずつを求める。

 東日本は、北海道電力に7〜8%の節電を求める一方、余力のある東京電力と東北電力には数値目標を定めない。

 政府の需給検証委員会は12日に今夏の電力需給見通しの報告書をまとめる。原子力発電の依存度の高かった関電管内は、大飯原発3、4号機の再稼働がなければ大口需要家にピーク時に節電を要請できる随時調整契約の効果を加味しても14・9%の供給不足を見込む。

 この水準では20%程度の節電が必要になるが、昨夏の東電、東北電各管内のように使用制限令を発動すれば経済・社会活動に甚大な影響を及ぼすことが懸念される。

 このため、政府はあくまで自主的な節電の積み重ねで乗り切る方針だが、強制力がない不安定さを補う狙いから、余力のある中部など4電力会社管内にも5%ずつの節電を要請し、関電に融通可能な分を積み増して突然の電力不足に備える。

 ただ政府内には、夏が間近に迫ったこの段階で、余力のある電力会社管内の企業や家庭に節電を求めることに対する異論もある。関電の供給不足見込みをさらに精査するなど調整が手間取る可能性もある。

 また、大飯原発が再稼働すれば、関電管内の電力不足がほぼ解消される見通しのため、政府は節電準備と並行して再稼働を目指していく方針だ。 

2012年5月12日  読売新聞)
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