"1230中国、歳入初の100兆円超え 今年の国と地方の合計、消費関連税収伸び :日本経済新聞"

【北京=高橋哲史】中国の歳入の規模が2010年に、国と地方の合計で日本円に換算して初めて100兆円を突破する見通しになった。中国財政省によると、1~11月の税収に国有資産の売却などの税外収入を加えた全国財政収入は前年同期比21%増の7兆6741億元(約95兆円)だった。消費関連の税収が好調なことが主因で、10年通年で8兆元を超すのは確実。中国は豊富な税収を裏付けに景気の下支えや軍事費の増大を続ける構えだ。





8兆元の水準は中国の国内総生産(GDP)の2割程度に及ぶ。経済に対する公的部門の影響力の大きさを示す。

今年1~11月の税収は前年同期比23%増の6兆8332億元(約85兆円)。国と地方の内訳は明らかでないが、09年の実績は国が56%、地方が44%だった。10年も国の税収は5割強を占めるとみられる。日本の10年度の予算や計画で比べると国(約37兆円)、地方(約34兆円)ともに中国の税収が上回る。中国の財政規模は右肩上がりを続けており、世界的にみると年間の歳入が2兆ドル(約160兆円)を超す米国に次ぐと言えそうだ。

自動車取得税5割増 中国では日本の消費税に似た仕組みで様々な物品の販売に課税する「国内増値税」や嗜好品などに課す「国内消費税」などの間接税の存在感が大きく、税収全体の3分の1以上を占める。日本は国税の収入で消費税の割合が約4分の1である半面、所得税など直接税の比重が大きい。

中国は1994年に税制を大幅に見直し、現在の増値税を導入。所得の把握が難しい所得税や法人税よりも、企業の売り上げに応じて徴収しやすい間接税を収入の軸にしてきた。同時に国の税の配分を厚くし、地方への影響力を高めた。

1~11月の全国税収の前年同期と比べた増加率を項目別にみると、モノやサービスの活発な売買を映して国内消費税が27%伸び、税収全体の3割弱を占める国内増値税は13%増えた。世界最大の市場となった自動車の販売拡大を追い風に、購入時に課税する自動車取得税も53%増加した。

膨らむ財政支出 一方、1~11月の全国財政支出は27%増の7兆1593億元となった。景気対策に伴う高速鉄道や空港の建設で交通運輸関連の支出が45%伸びたほか、社会保障・雇用(31%増)や医療衛生(39%増)も膨らんだ。支出全体の14%を占める教育は22%増。日本では借金の返済に当たる国債費が歳出の2割を超えて財政を圧迫しているが、中国の同様の比率は2%程度にすぎない。

1~11月の段階では、軍事費などがまだ計上されていないため、中国の財政収支は5000億元強の黒字を保つ。中国政府は軍事費の増大などを考慮し、10年通年で最終的に1兆500億元の財政赤字を見込む。

中国政府は10年のGDPに占める財政赤字を3%以内に抑える目標を掲げてきた。好調な税収を踏まえ11年は2%程度にとどまる可能性も出てきた。直近で6%を上回るとみられる日本の赤字比率との差は大きい。

中国政府は積極財政の基本方針を変えていない。11年の支出の前年比伸び率は今年並みの10%前後にする方向だ。11年の財政赤字は10年よりも約15%小さい9000億元と予測している。

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