"0512中国、工業生産の減速続く 4月9.3%増 3年ぶり低水準 一段の金融緩和期待 膨らむ :日本経済新聞"
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【北京=大越匡洋】中国経済の減速が続いている。国家統計局が11日発表した4月の経済統計によると、工業生産は前年同期比9.3%増と、約3年ぶりの低水準に沈んだ。輸出の不振が国内生産の低迷に波及した格好だ。消費も勢いを欠き、頼みの綱は2割増を維持する投資だけ。市場では、中国人民銀行(中央銀行)による一段の金融緩和への期待が大きい。
工業生産の伸びは鈍化した(安徽省の電子機器工場)=ロイター
1~4月の工業生産は前年同期比11%増で、1~3月の11.6%増から伸びが鈍化。4月単月では軽工業は10.3%増だが、重工業は8.9%増。全体で9.3%増という水準はリーマン・ショック後の2009年5月以来の低水準だ。
輸出の不振が国内の生産活動の足を引っ張っている。4月の輸出は4.9%増。欧州経済の長引く不振を受け、2割の伸びを確保した11年から大きく減速した。国内で販売が堅調な自動車の生産は10%の伸びを確保した半面、船舶などは2%台にとどまった。4月の発電量の伸びはわずか0.7%。幅広い業種で生産が鈍っている。
個人消費は賃金水準の上昇もあって底堅いが、輸出に替わって経済全体をけん引するほどの力強さは欠ける。4月の社会消費品小売総額(小売売上高)は14.1%増と、3月(15.2%)より伸びが大きく鈍化した。
中国の調査会社の奥維咨詢(AVC)によると、エアコン、冷蔵庫、洗濯機の白物家電の1~3月の販売量は前年同期に比べ1~3割減った。農村向け補助金制度が一部地域で打ち切られた影響が大きい。
頼みの綱は、投資だ。1~4月の固定資産投資(農村部除く、設備投資や建設投資の合計)は前年同期比20.2%増。1~3月の20.9%には届かないが、2割台の伸びを確保した。1~4月の国と地方を合わせた財政支出も26%増だった。
投資増を見込み、足元では鋼材など一部に増産の動きもある。ただ需要が堅調に伸びるかは不透明で、すぐに生産過剰に陥るリスクを伴う。4月の新規の人民元融資は6818億元(約8兆8600億円)と、3月の1兆元から大きく減った。実際の資金需要が続かなかった可能性がある。
一方、4月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比3.4%の上昇にとどまり、1年物の定期預金金利(3.5%)を下回った。インフレ懸念が和らぐ一方で、景気の底打ちがなお見えない。
市場では人民銀による預金準備率の引き下げなど一段の金融緩和を求める声が強まっている。同時に、内需拡大など新たな成長モデルへの構造調整も欠かせない。「中国政府はどこまで経済減速を容認できるかを試されている」(中国信達資産管理の瀋洪溥研究主管)との指摘もある
【北京=大越匡洋】中国国内の生産が減速しているもう一つの要因は、不動産取引の不振だ。国家統計局が11日発表した1~4月の全国の不動産開発・販売状況によると、住宅販売面積は前年同期比14.9%減少。1~3月の15.5%減より縮小したが、減少幅は依然大きい。
政府は不動産バブルを懸念して引き締め策を堅持しており、幅広い産業の生産減につながっている。
1~4月の住宅開発投資は13.9%増だったが、1~3月より伸びは5.1ポイントも鈍った。不動産市場の低迷は、鉄鋼やセメントなど建設資材の生産減を招くだけでなく、家電や家具などの消費にも影を落とす。
ただ、中国政府は引き締め策について「堅持し、動揺させない」(温家宝首相)として、不動産バブルの抑制方針を崩していない。
都市部では大幅な値引き販売も広がっているが、「不動産市況が反発する兆しを見せれば、政府はより強力な引き締め策を打ち出す可能性が高い」(中国指数研究院の何田氏)との見方が多い。
"0511中国消費者物価、4月は3.4%上昇 伸び鈍化、抑制目標の範囲内 :日本経済新聞"
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【北京=大越匡洋】中国国家統計局は11日、4月の消費者物価指数(CPI)が前年同月比3.4%上昇したと発表した。政府の今年の抑制目標である4%前後の上昇率の範囲内に収まり、3月の3.6%も下回った。物価上昇懸念が和らいでいることから、中国人民銀行(中央銀行)は景気の下振れリスクを回避するため、金融緩和姿勢を維持する見通しだ。
4月のCPIを品目別にみると、全体の3割を占める食品の上昇率は前年同月比7.0%。3月の7.5%より縮小した。特に、中国の食卓に欠かせず、物価動向を大きく左右する豚肉は5.2%の上昇にとどまり、3月の11.3%から大幅に伸びが鈍った。一方、生鮮野菜は27.8%の上昇と高止まりしている。
1~4月の平均では前年同期比3.7%の上昇。1~3月平均(3.8%)に比べ上昇幅が縮小した。足元ではインフレ懸念が和らいでいるが、賃金増加など国内のコスト上昇圧力もあり、中長期的なインフレ懸念はぬぐいきれない。食品以外は1.7%の上昇だった。
一方、同時に発表した4月の工業生産者出荷価格(卸売物価)指数は前年同月比0.7%の低下。2カ月連続のマイナス。国内経済の減速から企業の生産活動が低調で、企業間の取引価格は昨夏から低下傾向が続く。
中国政府は原材料や生活用品の一部について輸入関税を引き下げる方針を示しているほか、5月10日からガソリンなど石油製品の価格を引き下げた。
"0511中国、為替介入減らす 人民銀報告、異例の方針 「需給の働き 一段と大きく」 :日本経済新聞"
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【北京=大越匡洋】中国人民銀行(中央銀行)は10日に発表した四半期に1度の金融政策執行報告で、今後の為替政策について「中央銀行による為替管理方式の改善を進め、為替介入の頻度を減らす」と明記した。中国当局が為替介入について直接言及するのは極めて異例だ。4月に導入した人民元の変動幅拡大による改革の進展を改めて強調した格好。「為替相場の形成での市場の需給の働きを一段と大きくする」との方針を示した。
中国は従来、輸出企業への配慮から元高を抑えるための為替介入を繰り返してきた。ただ、中国経済が減速している現状では元相場が一方的に上昇する懸念が薄れ、人民銀は4月16日から人民元の基準値からの1日あたりの変動幅を従来の上下それぞれ0.5%から1%に拡大した。
変動幅を超えた場合には人民銀が介入する仕組みで、実際には1日に1%も変動することは少ない。このため、変動幅拡大により事実上、為替介入を減らせると判断したもようだ。国際的には元の切り上げを求める声が根強く、国際社会への配慮もうかがえる。一方、金利の自由化に向けた改革については「穏やかに進める」とするにとどめた。
中国経済の先行きに関しては「経済、金融分野の潜在リスクは軽視できない」と指摘。当面の金融政策は「資金供給を安定的、適度に増やす」と強調した。公開市場操作や預金準備率の引き下げなど政策手段を組み合わせて十分な資金供給を確保し、景気の腰折れを防ぐ姿勢を改めて示した。
"0510中国、4月の貿易黒字1.4兆円 2カ月連続黒字 欧州向け輸出不振 :日本経済新聞"
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【北京=大越匡洋】中国税関総署が10日発表した4月の貿易統計によると、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は184億2千万ドル(約1兆4700億円)の黒字だった。貿易黒字は2カ月連続。ロシアやブラジルなど新興国との貿易は比較的好調だが、欧州経済の不振の影響はなお色濃く、輸出入とも低い伸びにとどまった。
4月の輸出額は前年同月比4.9%増の1632億5千万ドル、輸入額は0.3%増の1448億3千万ドルだった。輸出、輸入ともに低調ながら、輸出の伸びが輸入の伸びをわずかに上回り、貿易黒字を維持した。
1~4月累計では193億ドルの貿易黒字。輸出額は前年同期比6.9%増加したが、2011年通年の20.3%増と比べ伸びの鈍化が鮮明だ。輸入額も同5.1%増にとどまった。輸出の伸び悩みで国内の生産活動が盛り上がらず、部品や原材料の輸入を抑える動きが出ているとみられる。
1~4月累計の主要相手国別の輸出をみると、最大の貿易相手である欧州連合(EU)向けは債務危機の影響が長引き、前年同期比2%の減少。一方、米国向けは同12%の増加。ロシア、ブラジル、東南アジア諸国連合(ASEAN)向けもそれぞれ2桁の伸びを確保した。日本への輸出は9%増えたが、日本からの輸入は8.9%減少した。
"0509セブン&アイとローソン、中国に持ち株会社 :日本経済新聞"
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大手小売り各社が中国での出店加速に向け、組織再編を進める。セブン&アイ・ホールディングスは8日、年内にコンビニエンスストア、スーパーの2分野で持ち株会社を設立すると発表。ローソンも同日、3日付で中国事業を統括する持ち株会社を立ち上げたと発表した。いずれも現地で経営の意思決定や投資を迅速にし、出店のスピードを上げる狙いだ。
セブン&アイは中国で現在約200店の直営コンビニと15店のスーパーを展開する。これらを運営する事業会社は設立時期や行政府との関係上、コンビニは地域別の2社と商標管理の1社、スーパーは地域により3社に分かれている。
再編ではコンビニ事業の商標管理会社を持ち株会社「セブン―イレブン(中国)投資公司」(北京市)に衣替えし、資本金を5倍の約30億円に拡大。傘下に地域事業会社を置き、出店や取引先の開拓に素早く投資できる体制を作る。スーパーは資本金約24億円の「イトーヨーカ堂(中国)投資公司」(同)を新設し、地域事業会社を束ねる。
ローソンは約80億円を全額出資した「羅森(中国)投資公司」(ローソンチャイナ、上海市)が都市ごとの事業会社を統括。事業会社からの異動を中心に、年内に約50人体制とする。ローソンは4月末時点で上海市、重慶市などにコンビニ365店を展開し、今期は北京への進出など中国で約400店を出す計画。
"0506中国経済は軟着陸できるか 海外エコノミストに聞く :日本経済新聞"
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進国にはみられない高い成長率を背景に、投資家の注目を集める新興国。欧州債務問題や先進国の大規模な金融緩和の影響も懸念されている。中国など新興国の景気や市場はどうなるのか。座談会の形でまとめた。
HSBC証券 パブロ・ゴールドバーグ氏 米HSBC証券の新興国市場リサーチのグローバルヘッド。株、債券、為替など幅広く投資戦略を立案。HSBCには2008年に入社。それ以前も海外の投資銀行業界で15年に及ぶ経験を積んでいる。
HSBC証券のパブロ・ゴールドバーグ氏 新興国の今年の国内総生産(GDP)の成長率は5.4%と、前年実績の6.2%に比べて減速するとみている。年内の流れで言うと、新興国景気は上半期に底を打って下半期には拡大に転じ、2013年に向かっては再加速が期待できる。とはいえ、国ごとに景気のばらつきは大きい。弱さが際立つのがハンガリーやチェコなどの東欧勢で、欧州で債務問題がくすぶっていることが痛手だ。
一方、中国は8.6%成長と、前年(9.2%)比でやや減速するが、成長率そのものは主要新興国のなかでは最大だ。ブラジルは3.7%成長と前年(2.7%)比での景気拡大を見込む。これまで利下げなどの刺激策を重ねてきた効果が下半期に向けて大きく表れてくるだろう。
ドイツ銀行の馬駿氏 中国経済はソフトランディングに向かうとみている。GDPの成長率は8.5%程度、物価上昇率は3~3.5%(前年は5.4%)と予想している。かつて10%程度の成長が続いていた頃に比べて景気の過熱ぶりは抑えられており、むしろ健全さは高まっている。
景気の下支え役は輸出だ。輸出の伸びは1~3月に7%台まで落ち込んだが、今年下半期には18%に回復すると予想している。日米欧などの購買担当者景気指数(PMI)などから中国の輸出回復が近いことが読み取れる。
アブサ・キャピタルのジェフ・ゲーブル氏 南アフリカの成長率は2.7%程度と、前年(3.1%)比で小幅な減速を見込んでいる。政府債務問題がぶり返している欧州景気の悪化が響く。また、電力の供給が不十分で、それが景気拡大の制約となっている。発電能力の拡充を急いでいるが、現在建設中の発電所が実際に稼働するのは来年末となる見通しだ。
ゴールドバーグ 新興国景気のリスクはおおまかにいって3つある。まず、世界景気の急速な悪化などに伴ってリスク回避のムードが広がり、新興国から資金が流出すること。次は商品高などを通じてインフレ圧力が高まり、急速な金融引き締めを余儀なくされること。第3に、これは長期のリスクだが、先進国からの資金シフトが続いて過度の通貨高を招き、それが資産バブルと一段の通貨高にスパイラルする『オランダ病』のような状態に陥ることだ。
ただ、新興国経済が急速に変化していることは見逃せない。欧州など先進国はここ数年間揺れ続けているが、新興国全体でみると大きな問題は生じていない。各国の財政状態が目立って悪化するといった事態も起きていない。
馬 欧州についてはマイナス0.5%の成長を織り込んでいる。ただ、日本の震災からの復興需要の効果などもあって日米の景気回復は当初想定していたよりも上ぶれるとみており、欧州の悪影響をある程度相殺できる。欧州では債務問題がくすぶり続けるだろうが、リーマン・ショック型の危機に陥る可能性は低いとみている。欧州政府当局と国際通貨基金(IMF)はこれまでの経験から事態が悪化する前に大量の流動性を供給するなどの対策を打つことの重要性を学んでいる。足元でもスペイン国債の利回りが上昇するなどしているが、今後打たれる対策はより迅速かつ大規模なものになっていくだろう。
ゲーブル 南アにとっても欧州経済の落ち込みが予想より大きくなることはリスクだ。ただ、南アの経済構造は以前とは様相が異なっており、欧州依存度は一般に思われているほどではないことは指摘しておきたい。例えば、南アにとって重要な鉱物の輸出は、アジア向けが約6割と欧州向けの約2倍にのぼり、欧州依存度は以前より低くなっている。トヨタ自動車や独フォルクスワーゲンなどが進出し、自動車生産も活発。工業製品の輸出もアジア・アフリカ向けが伸びている。雇用拡大を受け、南ア経済の約7割を占める個人消費も底堅く推移している。
南ア特有のリスクとしては、労使関係の緊張が高まりやすいことがある。これまでにも何度か大規模なストライキなどで生産活動が停滞したことがある。
──中国景気の失速懸念も一部で根強く指摘されているが。
馬 自動車や電気製品などの消費が落ちていたり、引き締めの結果、不動産市場の減速が続いていたりと短期的な懸念はある。「問題は何もない」と言うつもりはない。ただ、政府は問題の所在を十分に認識しており、今後は追加的な政策対応の効果が表れ、景気は持続的な拡大に向かうだろう。
不動産売買も回復し始めている。銀行が不動産を初めて購入する人を対象に融資基準を緩和したことが奏功している。金融機関からの貸し出しが3月に入って伸び出したことも重要だ。政府はインフラ投資に絡む資金調達の重要性を理解しており、この傾向は今後も続く可能性が高い。
ゴールドバーグ 現状で中国やブラジルなど経済規模の大きな国は緩和路線をとっている。メキシコもハト派的な姿勢で、市場では緩和期待が出ている。一方、規模の小さな国の姿勢は反対だ。シンガポールは引き締め効果を狙って自国通貨を上昇方向に誘導している。ポーランドやコロンビア、チリなどもタカ派的だと受け止められている。
ドイツ銀行 馬駿氏 ドイツ銀行の中国チーフエコノミスト。これまでに、国際通貨基金(IMF)や世界銀行のシニアエコノミスト、中国政府の国務院発展研究センターの経済研究員などを経験している。
馬 中国の金融政策は緩和基調が続くとみている。1~3月の1カ月あたりの新規銀行融資は8000億元程度まで回復した。4~6月はさらに伸びそうで、インフラや公共住宅の建設事業の資金調達が容易になるだろう。一方、財政支出は1~3月に前年同期比で約30%拡大している。4~6月はこの資金が実際に使われ出すタイミングにあたる。金融・財政の両面からマクロ経済環境は緩和的な状況にある。
ゲーブル 南アの中央銀行である南アフリカ準備銀行(SARB)は08年後半まで12%あった政策金利を足元の5.5%まで引き下げてきた。3月の消費者物価上昇率は6.0%で、SARBが3~6%と設定するインフレ目標の上限に達している。ただ、欧州債務危機などを受け、世界景気の下振れリスクは根強く、SARBは現状のインフレ率と政策金利のあり方を心地よく感じているだろう。金融政策は今後、引き締め方向に動くはずだが、年末までは政策金利は据え置かれると予想している。
──日米欧の先進各国は大規模な金融緩和を続けている。その副作用によってインフレ圧力が高まり、新興国の経済政策の余地を狭めてしまう恐れはないか。
馬 先進国の金融緩和が中国のインフレにつながったのは過去の話だ。足元でインフレ率は3%程度に収まっており、しばらくはこの基調が続くだろう。食料品価格が安定しつつあるうえ、卸売物価が過去半年ほど横ばいで推移していることなどが理由だ。今後数カ月は中国のマクロ経済政策にとって非常に重要な時期であり、そこでインフレ圧力が落ち着き、政策の選択肢を広く取れるのは大きい。
ただ、世界的に流動性が供給され続けているうえ、欧州景気が年後半に回復に転じる可能性もあり、10~12月あたりからはまた少しインフレを懸念しなくてはならなくなるかもしれない。
ゴールドバーグ 新興国全般にとって、目先、インフレが大きな問題となる可能性はほとんどないとみている。失業率は各地でほぼ最低となっている半面、商品市況は安定しつつある。新興国の政策当局は全体的には成長維持に傾いており、「利上げ」は今年のテーマにはならないだろう。
ただ、先進国が大規模な緩和を続けており、「通貨戦争」の素地は残っている。緩和効果で先進国の金利が低下し、投資マネーは高金利の新興国に流入。その状態を放置すると通貨高になってしまうので、新興国は必要以上の緩和を迫られる。その結果、商品高などが先進国景気の重荷となり、さらなる緩和要因を生み出すという悪循環のリスクは否定しきれない。
──新興国市場の見通しはどうか。まず、為替相場について聞きたい。
ゴールドバーグ 新興国通貨は長期的には上昇が続くだろう。世界経済の不均衡是正に伴う資金流入が見込めるためだ。個別の通貨でいうと、シンガポールドルやマレーシアリンギットに強気だ。この2国は経常黒字が続いているうえ、金融政策も引き締め基調にある。一方、ブラジルレアルは中銀が通貨高を抑制しようとしているため強気にはなれない。
アブサ・キャピタル ジェフ・ゲーブル氏 英バークレイズグループ傘下で南アに拠点を置く投資銀行、アブサ・キャピタルのアフリカ経済調査のヘッド。カナダ中銀、国際通貨基金(IMF)、ドイツ銀行、バークレイズなどを経て現職。
ゲーブル 南アフリカランドの相場は今年いっぱいは1ドル=7.2~7.7ランド程度のレンジ内で推移するとみている。ただ、低成長に悩む先進国からの資金シフトは今後も続くはずで、ランド相場の長期的な上昇基調は変わらないと予想している。
馬 人民元相場はこれまでよりゆっくりしたペースでの上昇となるだろう。過去数年間のような年率5~7%の上昇はもはや考えにくい。中国の貿易黒字が縮小してきたためで、今後は年率3%程度の上昇がせいぜいではないだろうか。
ゴールドバーグ 新興国株は総じて先進国と比べ割安で魅力的な状態が続きそうだ。ドル建ての債券は堅調な値動きが期待でき、現地通貨建てのインフレ連動債にも妙味がある。
馬 中国株相場の先行きは強気にみている。今のところ内外の投資家は中国経済のハードランディングを警戒し、市場心理は弱気に傾いている。だが、中国政府が追加の対策を打ち始めていることはあまり認識されておらず、私が予想するような低インフレ下での景気回復が実現すれば、年後半にかけて株式相場は反発に向かうだろう。中国株が過去の水準に比べて割安に放置されているが、これも支援材料といえよう。
──新興国の市場はこのところ荒っぽい動きが目に付くが。
ゴールドバーグ 世界を見渡せば、欧州債務問題がくすぶるなどリスク要因は山積している。その半面、不測の事態が生じれば米連邦準備理事会(FRB)や欧州中央銀行(ECB)は追加緩和策などを発動し、ある程度以上の状況悪化を許さないはずだ。このため、新興市場を巡っては「リスクオン」と「リスクオフ」の間を行ったり来たりするような展開を想定している。
新興国市場の安定を考えると、先進国景気が「穏やかな成長」を続けることが望ましい。先進国景気が過熱すると、緩和解除の可能性が高まり、新興国市場への選好度が低下する。先進国景気が過度に落ち込めば、リスクオフの流れが強まり、やはり新興国市場への選好度は低下してしまうだろう。
[日経ヴェリタス 2012年5月6日付
"0506(下)品質プラスαで売る 日本流サービス強みに :日本経済新聞"
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中国内陸部にある内モンゴル自治区。石炭や鉄鉱石の鉱山でコマツの油圧ショベルがエンジン音を響かせる。硬い岩盤を打ち砕くため摩耗が激しく、頻繁な保守・点検が欠かせない。エンジンなどの部品交換が必要な時にはすぐ、住み込みのコマツの中国人社員が出向く。
コマツは鉱山用大型建機の保守点検に力を入れる(江蘇省常州のコマツの拠点)
2011年は中国の油圧ショベル出荷でシェア11.8%。新興の地元建機大手、三一集団(湖南省)に僅差で届かず2位だった。低価格攻勢をかける中国勢との競合は激しいが、コマツが力を入れるのは安さよりも、アフターサービスによる顧客との関係強化だ。
鉱山などの過酷な現場に社員を置くだけでなく、昨年末時点で8600人の代理店社員が保守点検のために顧客回りを欠かさない。ライバルにも「今の自分たちにはそこまでできない」(三一集団幹部)と言わしめる。
日本企業の製品は質が高い――。少し高くても日本の製品を欲しがる中国人は多かった。しかし中国企業が品質を高め、その優位性が揺らいでいる。新たに注目されているのが、保守や接客など日本流のサービスだ。
「日本人がデザインした日本人が着る服を中国の顧客は求める」。婦人服製造販売のクロスカンパニー(岡山市)の石川康晴社長は言う。昨秋以降、上海に衣料品店を出店。日本で20歳代の女性を中心に人気の「ナチュカワ(自然体でかわいらしい)」系ファッションを中国に持ち込んだ。
「そのスカートにはこのインナーが合いますよ」。顧客の好みを察しながらさりげなくコーディネートの仕方を提案する。売りたい製品を押しつける他の店とは違う。
店員は全員が大卒の正社員。月給は4千元(約5万1千円)以上と、競合店より500~1000元は高い。それでも接客スキルの高い店員を育成することが、「顧客の感動を呼びブランド力を高める」(石川社長)。
高い技術力で評価を受けている分野もある。その一つがデジタルカメラ。キヤノンは9月から北京など3都市で展示会を開催、未来のデジカメなどを披露する。昨年5月にアジアで初めて開いた上海での展示会では、デジカメを装置上に置くだけで画像が取り込める仕組みなどが話題になり、4日間で3万人超を集めた。
レンズや画像処理の技術は「中国企業がまねできない」(中国の証券アナリスト)。中国の小型カメラ市場でシェアは25%とトップ。年内に内陸部の貴陽(貴州省)、南昌(江西省)など10都市に営業拠点を構え、中国全省をカバーし、販売をさらに増やす。
日本経済新聞社の「中国進出日本企業アンケート」では、11年度の中国事業の売上高が10年度より増える見込みとの回答が全体の76%を占めた。経済成長の追い風を受けて多くの企業が増収だが、今後も高成長が続く保証はない。
テレビや乗用車などの分野ではシェアダウンも目立つ。世界の大手が競い合う中国で日本ならではの強みをどう発揮できるのかが問われている。
"0505(中)望み高い「一人っ子」従業員 昇進の道、意欲引き出す :日本経済新聞"
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広東省深セン市にある富士ゼロックスの工場。10~20代の若者向けに一風変わった従業員教育を続けている。友人や異性との付き合い方からメンタルヘルス、お金のため方まで、仕事の枠を超えた幅広い講義をするのだ。
深センの日系企業工場で起きたストでは「日本企業が中国の労働者をいじめている」という横断幕が掲げられた(2011年12月)
「お金の講義が役だった。本を買い定期的に貯金したり銀を購入している」と人事部の李美さん(26)。技術部の呉衛敏さん(22)は「内向的な性格が変わった」。
この工場の離職率は、1カ月に1割がやめる深セン市の平均の3分の1。現地法人CSR部の幹部は従業員へ親身に接してきた結果だとみる。
今や生産の現場で多くを占めるのが「一人っ子政策」のもと大切に育てられ、権利意識も強い1980年代、90年代生まれの若者。インターネットで最新情報に接し、昇進や生活の質に強い関心を示す。待遇面などで高い要求を会社に突きつけ、かなえられないときには不満を爆発させやすいともいわれる。
「日本人幹部は高給をもらいすぎ」「雇用を本当に守ってくれるのか」。ホンダ、日立製作所、パナソニックなどの中国工場で相次いだストは、若者たちの労務管理の難しさを示した。日本経済新聞社が実施した「中国進出日本企業アンケート」でも、有効回答中10.8%の8社で2011年1月以降にストライキが発生した。
中国人のやる気をどうすれば引き出せるか。日本企業の中国依存度が高まる中、問われるのが中国人材の活用だ。
これまでは中国人活用に及び腰の日本企業も多かった。コンサルタント会社、キャストコンサルティング中国法人(上海市)の前川晃広総経理によると「日本企業は欧米企業ほど現地採用者への権限委譲ができていない」。人材の現地化で先行した欧米企業が、採用した中国人の人脈も生かし、インフラ受注などで有利に立つ場合も目立つ。
中国人に重要な仕事を任せ、昇進の道をひらき、やる気を引き出そうという日本企業も出てきた。
富士電機は4月1日、現地採用した梁浩氏(45)を中国統括会社(上海市)の「パワエレ機器事業本部」本部長に抜てきした。インバーターやモーターなど主力商品を扱い、中国事業の売上高の7割を占める中核部門だ。統括会社には約100人の日本人がいるが、13年秋にも大半が帰国。今後は中国人が統括会社社長も含め、幹部ポストを担う。
セコムは中国人材の積極活用へ向け、日本の大学を卒業した中国人を09年に日本本社で22人採用。その後も採用を続けている。警報装置と警備員の出動を組み合わせた同社の独自システムを顧客に説明するなど営業の最前線で活躍している。将来は日本の本社で幹部に就く可能性もある。
中国に根付くには、中国人が働きたいと願い、やりがいを感じる企業になる必要がある。その成否は日本企業のグローバル化の行方も占う。
"0504(上)賃金高「世界の工場」に影 競争力向上へ現地開発 :日本経済新聞"
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人件費上昇、地元企業の台頭、権利意識に目覚める若者――。世界第2位の経済大国になってなお急成長を続ける中国では企業の事業環境も変化が速い。巨大市場を巡る攻防はますます激しくなっている。中国での事業拡大へ新たな挑戦を始めた日本企業の姿を追う。
コイルの巻き線工程ではロボットも活用し、生産性を大幅に向上(福建省アモイ市のTDK工場)
従業員数は6年前の4割の1500人で生産量は7%増の月1500万個――。中国南部の福建省にあるTDKの工場では、エアコンなどの電圧を制御する「トランス」の製造ラインで生産性を大幅に改善した。
中核部品となるコイルの生産は以前、女子工員が電線を手作業で巻き付けていた。今は内製したロボットなどの最新設備に置き換えた。
昨秋に稼働したプレス工業の建機部品工場(江蘇省)。4台の多関節ロボットが鉄板をせっせとプレス機械に送り込む。約2000万円を投じて設置した。同社のほかの中国工場では16人が協力して鉄板を運ぶが、ここでは1人が管理する。
安い労働力で家電など多くの製品の世界供給拠点になった中国。部材や設備を輸入して低コストで組み立て世界に輸出する「世界の工場」の現場から人が消えつつある。
原因の一つは人手不足とそれに伴う賃金上昇。日本経済新聞社が実施した「中国進出日本企業アンケート」では将来の中国事業のリスクを「人件費上昇」とする回答が58.8%と最多だった。最低賃金は広東省深セン市で月1500元(約1万9000円)で、政府は毎年13%以上引き上げる方針。ボストン・コンサルティング・グループは中国の賃金水準は2015年ごろに米国を抜くとみる。
国有企業が数十万人を雇用し、旧式設備で生産する時代なら日本企業の優位性は保てた。しかし今は中国企業も最新設備を導入し、追い上げる。
衣料品などでは中国よりも人件費が安い国へ生産を移す企業もあるが、従業員の熟練度や巨大市場に立地する利点を考えると、多くの企業は中国を捨てられない。だから生産の合理化を急ぐ。
代わって増やすのが開発人材。価格を下げ、現地のニーズに合わせるために開発を現地化する。
溶接機器大手、ミヤチテクノスの上海市郊外にある工場で、充電池製造などに使うレーザー溶接機の中国専用モデルの生産が昨年末始まった。中国人4人を含む技術者チームが工場の片隅で開発した。
光源に使う結晶などは現地調達し、価格を日本で開発した製品の半分にした。安くて一定の品質でよいという中国企業に売り込む。「日本にいては中国のニーズの変化に対応できない」。中山伸一中国副代表は言う。
プラント配管などの接続部に挟み込んで液体の漏れを防ぐゴム製パッキン大手、日本バルカー工業の滝沢利一社長は最近、日本で開発した製品が必ずしも中国で通用しないことに気付いた。中国の配管は接続面が日本のように滑らかでなく、日本のパッキンでは液体が漏れかねない。現地開発の必要性を痛感した。
中国市場の開拓へ向けて、中核技術でも開発を中国へ移す動きが広がる可能性がある。世界の工場の役割は変わっていきそうだ。
"0504米、中国に内需拡大促す 米中対話が開幕 減税・関税下げを要請 中国側、言及避ける :日本経済新聞"
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【北京=矢沢俊樹】米国と中国が経済、外交の懸案を話し合う米中戦略・経済対話が3日、北京で開幕した。米側は経済討議で、中国に減税や関税引き下げによる消費拡大を要請。欧州債務危機などで世界の需要が弱含む中、中国に内需主導型の成長を求めた形だが、中国側は言及を避けた。中国の人権活動家の問題を巡る外交摩擦とともに、経済を巡る米中の微妙な距離をにじませた。
米中戦略・経済対話の開会式で握手するクリントン国務長官(左)と胡錦濤国家主席(3日、北京)=ロイター
4回目となる同対話は4日に共同宣言を採択し閉幕する。ガイトナー米財務長官は王岐山副首相らとの経済討議で、不均衡是正に関連し「国内消費による成長に向かうのが望ましい」として輸出や投資主導から内需型の経済発展へ転換するよう重ねて強調した。
米財務省高官によると、討議で米側は「税制や輸入関税(の引き下げ)を通じた消費支援」を求め、中国側と「やや具体的な議論」を行ったという。中国側は直接の言及を避けている。
ガイトナー氏は公共投資による大型の歳出拡大ではなく、家計の購買意欲を高める消費関連の減税を念頭に、国の歳入面を使った税財政政策を求めた形だ。関税の引き下げは安価な輸入品を増やし、消費の拡大につなげる効果を狙ったものだ。
政府債務危機の影響でユーロ圏が2012年にマイナス成長となる見込みが濃厚で、米中も景気減速のリスクがくすぶる。財政出動の余地が低い米当局として、中国にけん引役を期待せざるを得ない実情を示す。
焦点である通貨人民元を巡っては、中国は4月16日から人民元相場の変動幅を拡大し、米国の対中批判の機先を制す動きに出た。中国人民銀行の周小川総裁は3日の記者会見で、「為替は市場に基づいた相場形成を目指す点で一致している」と胸を張り、一連の対応を誇示した格好だ。
だが、米側は「望ましい動きだ」(政府関係者)と一定の評価を示しつつも、「為替は依然として重要な課題だ」とさらなる切り上げを迫り、微妙な温度差も浮かぶ。
「物価上昇を加味した人民元の実質相場は05年から対ドルで4割上昇した」(米財務省)と為替面からみた米側の輸出競争力もやや改善し、緊張が幾分和らいでいるのは事実。ただ、米大統領選で共和党候補として確実になったロムニー氏は「中国を為替操作国に認定すべきだ」と強調。米議会の対中強硬論も根強く、ガイトナー氏も強く出ざるを得ない事情も透けてみえる。
国有銀行改革も米が強く要請した課題の一つだ。中国が預金・貸出金利規制で国有銀を手厚く保護し、結果として中国企業だけが有利な条件で資金を調達できる構図を問題視。ガイトナー氏らは「金利の自由化と、(米銀行などへの)民間に対する市場開放に踏み切るべきだ」と強調。
人民銀の周総裁は金利自由化などは「一夜にして完成できるものではない」と、段階的な取り組みを訴え、果実には乏しかった。
"0503 3割が中国人トップ 現地化へ幹部登用増える :日本経済新聞"
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【広州=桑原健】中国現地法人で中国人社員の幹部登用がどの程度進んでいるかを聞いたところ、最上位ポストが「社長」以上が3割を超えた。「部長」以上まで広げると9割近い。採用・育成策では「日本での研修」が88%と最も多く、日本本社で採用し駐在員として中国現地法人へ派遣する企業も5割を超えた。
人民元を決済などで直接利用する動きも広がる。中国政府が元取引の規制緩和を進めていることに対応。為替変動リスクを軽減する元建て貿易決済はすでに「開始した」が有効回答の17%、「計画中」は28%に達した。元建て直接投資も「開始した」が10%、「計画中」が31%を占める。
日本企業が人やお金の面で現地化を急ぐのは、中国市場の開拓を強化しているためだ。中国事業の売上高に占める中国国内販売の比率が「8割超」と答えた企業はすでに54%。うち「全量が中国国内向け」とした企業も16%あった。一方、全量を輸出する企業はゼロで、中国が低コストの労働力を生かして輸出する「世界の工場」から、消費の旺盛な「世界の市場」へと変化していることが日本企業からも見える。
国内販売をさらに拡大するための対策(複数回答)では、現地有力企業との提携(53%)と販売代理店の増強(50%)が多く、販売子会社の新設・増設(28%)などを上回った。インターネット販売を利用すると回答した企業も19%あった。
事業拡大に伴うリスクへの対応も聞いた。中国企業が米アップルの多機能携帯端末「iPad(アイパッド)」を商標権侵害で訴えたことで注目を浴びる知的財産権保護への取り組み(複数回答)では、81%が「中国国内での特許・商標などの取得」を進めている。侵害された場合「徹底して法廷闘争に持ち込む」という企業も15%あった。
"0503中国事業、人件費重く 2ケタ賃上げ8割 日系企業 本社調査 工場から市場へシフト鮮明 :日本経済新聞"
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【上海=菅原透】日本経済新聞社が2日まとめた「中国進出日本企業アンケート」で、人件費上昇が中国事業の収益を圧迫している状況が鮮明になった。2011年度に、前年度比2ケタ賃上げした企業は8割に上り、中国事業の利益見込みが10%以上減る企業は2割近くに達した。人民元高もあり輸出拠点としての魅力は低下。ただ、巨大市場がグローバル戦略の要との位置付けは変わらない。人材登用などで現地化を進め市場開拓を急ぐ日本企業の姿が浮かぶ。
中国では人件費の上昇が収益の圧迫要因に(広東省東莞市の繊維製品工場)
中国では1年あまり続く金融引き締めが効き、経済の減速が鮮明になるなか、11年度の利益見込みが10%以上減ると回答した企業は有効回答の19%に達した。前回調査では10年度が10%以上減益見込みと回答した企業は4%にとどまっていた。一方、11年度利益が10%以上増えるとの企業も依然3割に上るものの、前回調査の5割強から減少、勢いに陰りが見える。
最大の要因は人件費上昇。前回調査も含め賃上げの動きを見ると、前年度比2ケタの賃上げとなった企業は10年度(前回調査)が51%、11年度に77%と拡大。12年度の見込みも66%で、人件費上昇が利益を圧迫する構図が続く。中国政府が昨年義務付けた中国で働く外国人を対象とした社会保険加入も重荷だ。
回答企業の59%が人件費上昇を中国の事業リスクとしてとらえており、2番目の中国の成長減速(35%)を大きく上回る。
東日本大震災も中国事業に影を落とした。日本からの素材・部品や完成品調達が滞ったことで、52%の企業が中国での事業展開に支障を来したという。「日本国内での調達先の多様化」(29社)や「中国での現地調達を増やした」(27社)など、部材のサプライチェーン(供給網)の見直しで、今後の天災リスクに備える動きも目立った。
震災後、日本の製造業の海外移転が加速、空洞化懸念が一段と強まったが、今回の調査では「中国シフトと震災は直接の関係はない」が8割以上を占めた。震災を契機に中国での設備投資を見直した企業もほとんどなかった。
今秋にも予定される共産党指導部の世代交代後の事業環境の変化を注視する姿勢も目立つ。指導部交代で事業環境や経営環境に「大きな変化がある」「何かしらの変化がある」とした企業は有効回答の4割。「内需刺激策の拡充」(19社)、「環境技術開発に対する奨励策の拡充」(19社)など、自社の事業拡大につながる政策を期待する声が多い。
今後の中国経済については、12年の実質国内総生産(GDP)成長率が「8%超~9%未満」との予想が53%と最も多く、次いで「7%超~8%未満」が38%で続いた。景気浮揚につながる金融緩和の早期実施を期待する声も多く、利下げを含めた本格的な金融緩和が鮮明になる予想時期を聞いたところ、「7~9月期」が28%で最多、「4~6月期」も24%に達した。
"0501「内向き」学生には旅を? 留学、大学が後押し 授業料・渡航費を援助 国際派の人材育成 :日本経済新聞"
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海外への関心が薄い「内向き志向」が指摘される学生向けに、早稲田大学、一橋大学など主要大学が相次ぎ留学支援を広げている。世界で活躍する人材を育てるため、選抜した少数の学生に留学機会を与え、高額の資金も援助。一方、多くの学生に留学を促そうと相談窓口や留学プログラムも充実させている。
早稲田大学は4月から全学生を対象に、国際政治や異文化理解などを学ぶ無料講座を新設。500人以上が全50講座の受講を始めている。このうち15人を選抜し、2013年にワシントン大学など米国の有力5大学に1年間派遣する。現地の授業料を免除し、渡航費も1人約30万円給付する。
帰国後も米側5大学から留学にきた学生と環境問題などの世界的課題を論じる講座を設け、英語の論文も指導する。
立命館大学は4月、韓国の東西大学、中国の広東外語外貿大学と組み、各大学で選抜した学生が一緒に留学して学ぶ「キャンパスアジア・プログラム」を設けた。文学部1、2年生の計10人が対象で、12年度はまず韓国語、中国語などを学習。13、14年度は、1年を3学期に分け、学期ごとに各大学を回って学び、寮生活も共にする。留学中の授業料は免除する。
一橋大学は12年度、英オックスフォード大学、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスに1人ずつ派遣し、1人に最大350万円を給付する制度を立ち上げた。
幅広い学生を対象にした支援策では明治大学が11年度、どの学部でも正規の授業として単位が取れる留学準備講座(全15回)を開設。12年度は交換留学の対象ではない大学で学ぶ際、最大30万円補助する制度を始めた。
文部科学省によると、海外留学した日本人は09年、5万9923人にとどまり、5年連続で減少している。
"0501「QBハウス」台湾進出 5年で40店、中国も視野 :日本経済新聞"
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一律1000円のヘアカット専門店「QBハウス」を運営するキュービーネット(東京・渋谷)は5月、台湾に進出する。2017年6月期までに40店の開設を目指す。海外進出はシンガポール、香港に続く3カ所目。低料金で高い水準のサービスを提供し、成長が続くアジア市場の開拓を急ぐ。
台湾の1号店は5月19日に台北市内に開く。店内にカット用の座席4つを設け料金は300台湾ドル(日本円で830円前後)を予定する。日本からスタッフを派遣し現地で採用した従業員にカットや接客などノウハウを指導する。
中国への進出も視野に入れている。シンガポールなども合わせた海外店舗を5年後に現在の67からほぼ3倍の180に増やす計画。今後開く海外店舗も大半は従業員を現地で採用する方針だ。
5年後には国内外の店舗数が現在の1.5倍の770程度になる見通し。アジアを中心とした海外展開の加速により、売上高に占める海外の割合を今の2割程度から3割超に引き上げる。
"0429「クール・ジャパン」インドへ ファッションや伝統工芸品 日印政府が販路開拓協力 :日本経済新聞"
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日本とインドの両国政府は、日本のファッションや伝統工芸品などの販路をインドで開拓する協力体制を整える。枝野幸男経済産業相とシャルマ印商工相が近く会談し、合意する見通し。富裕層や中間層の成長が著しい同国で従来のインフラ分野だけでなく、現地の消費者に密着した製品・サービスの普及を経済関係強化の柱と位置づけ、企業の提携や協力を推進する方針だ。
日本の官民が一体となり、生活・文化関連産業の協力枠組み設置で外国政府と合意するのは初めて。経済産業省は海外で人気がある日本文化「クール・ジャパン」のブランド力強化に向け産業協力や人材育成を推進しており、人口12億人の新興市場であるインドの開拓を本格化する考えだ。
合意と合わせて企業間では、東日本大震災の被災地支援の一環で、日本産品を扱う通販サイト「47CLUB」と印小売り最大手フューチャー・グループが、日本の伝統工芸品のテスト販売や販促活動で覚書を交わす。講談社は、インドのアニメ制作会社と野球漫画「巨人の星」の舞台をクリケットに置き換えたリメーク版の共同制作を正式発表する予定だ。
外食・小売り分野では、中小企業が海外でフランチャイズ展開する場合、日本貿易振興機構(JETRO)が支援する制度をインド進出企業に適用する予定。1号店の進出までに必要な現地でのパートナー探しや許認可取得などをサポートする。
経産省は、衣料品や食品など生活・文化関連産業のインドの市場規模は2020年に09年の約3.3倍にあたる48兆8000億円にまで膨らむと試算。今回の枠組みで重要な輸出先に育成するとともに、南アジアや中東・アフリカへの情報発信拠点にする意向だ。
今年は日印外交関係樹立60周年にあたる。経産省は2月にインドで日本の有力ブランドを展示・紹介。3月には日用品やアニメの見本市も開催している。