今回が書評ポータルの最後の更新になります。皆様からいただく書評を、ただアップするだけでなく、企画を立てながらコーナー化する試みを始めたのが2005年。以来、ずっと私がこの書評ポータルを担当してまいりました。
“はりゅうみぃ”さん、
“拾得”さん他の方からは、書評の文中でねぎらいの声をかけていただき、恐縮です。感謝にたえません。
しがらみのないところで書かれる、素直な実感に貫かれた書評は、専門家による書評とは違った生々しさがあり、鮮烈な印象を与えられます。客観的・分析的な書評、生活体験を交えたエッセイ風書評、あらゆるジャンルの本に様々なタイプの書評が日々寄せられていくのを、このままにしておくのはもったいないと始めた当コーナーでしたが、予想を遥かに上回る豊かな成果に驚くばかりでした。
当コーナーを運営するにあたり、私が気を配ったことは、「人」の重視でした。どのような人が、どのような動機を持ってこの本を対象とし、どのような回路を通じて評したのか。評する「人」を軸にすると、「本」は思ってもみなかったような複雑な輝きを見せるのです。「人」から「本」が見え、「本」から「人」が見える。そして「人」と「人」、「本」と「本」がつながっていく。そんな関係の実現を目指しました。
詩人の鈴木志郎康氏は、評論集
『結局、極私的ラディカリズムなんだ』の中で、文芸作品の投稿のシステムが「書いて読まれる喜びをもたらすのではなく、書いて読まれることもなく忘れ去られる悲しみを大量に生み出すことになった」と指摘しています。当コーナーでも「オススメ書評」「オススメ評者」を毎週選んでおります。が、選考という行為によって、本の感想を表明する喜びを殺がれることのないように腐心しました。毎回書評フェアを催したのはそのためでもあります。全ての書評は「人」が「本」を通じて思考を巡らせた結果生まれた、かけがいのない価値を持つものです。なるべく多くの書評をご紹介しようと努力したつもりですが、それでも取りこぼしてしまったたくさんのすばらしい書評があったことを残念に思っています。
まもなく新しいサイトが立ち上がります。私はこれで書評の仕事を離れますが、皆様の書評はこれからも楽しく読ませていただきます。
長い間お世話になりました。今まで本当にありがとうございました。
★「書評ポータル」閉鎖のお知らせ
5月17日、ビーケーワンに新しいサービスが追加され、新しいサイトが立ち上がります。それに伴い、この「書評ポータル」も閉鎖されることとなりました。新サイトでは、今までとは違った形で皆様からいただいた書評を掲載させていただきます。引き続き、よろしくお願い致します。
★書評の受付の一時休止のお知らせ
サイトリニューアルの都合により書評の受付を一時休止させていただきます。なお、受付再開はリニューアル後の5月中旬を予定しております。何とぞご了承ください。
★書評の鉄人の"浦辺 登”さんが著書を刊行されました。
『東京の片隅からみた近代日本』
<2012.5.10 オンライン書店ビーケーワン販売部 辻和人>