昨年3月の東京電力福島第一原発事故の発生直後、首相官邸内で原発から半径50キロ圏の住民約50万人を避難させる計画を立てていたことがわかった。原発が制御不能になる最悪の事態を想定したもので、結果的には幻に終わった。
事故当時、国家戦略相だった玄葉光一郎外相が朝日新聞の取材に対して明らかにした。衆院福島3区選出の玄葉氏は、事故翌日の3月12日の原子力災害対策本部会議で「メルトダウン(炉心溶融)の可能性がある」と指摘。3月15日には、内閣府原子力委員会に「最悪の事態」を想定した対応を指示した。
原子力委は、原子炉の一つが制御不能になってメルトダウン状態になり、作業員が撤退して周囲の原子炉も制御不能に陥る連鎖が起きるシナリオに基づいて計画を作成。玄葉氏は当時の菅直人首相に提言した。