JR広島駅周辺の整備計画が混沌(こんとん)としている。広島電鉄が駅前南口で計画する新路線「駅前大橋線」は、広島市が提示したJRの駅に乗り入れる際の構造を巡り選定が難航。北口ではバス、タクシー乗降場などを巡り、市の再編案に業界団体が難色を示す事態が起きている。
■距離と時間短縮
「広島電鉄の広島駅前新線計画は全国でも注目度が高い」。4月14日、超党派の国会議員で構成するLRT(次世代型路面電車)推進議員連盟は広島駅周辺を視察し、議連として、新線の設置を支援していくことに意欲を示した。議員視察には広電やJR西日本広島支社などの幹部が広電の路面電車に同乗。市中心部の町並みや交通体系について説明した。
広電が新線を計画するのは市中心部と広島駅南口を結ぶ路線の時間短縮を図るためだ。現在は、広島駅に向かう際、東側に大きく迂回(うかい)しているが、路面電車のため駅周辺でのバスやタクシーなどの混雑に巻き込まれやすい。広島駅に直線で進む新線を設置し、稲荷町の電停から広島駅までの距離を現行の800メートルから200メートル短縮、市中心部からの所要時間も15分程度を約5分短縮したい考えだ。
広島市は2010年8月、駅前南口の再整備計画を話し合う検討委員会を設置。道路上を通る「平面案」(事業費30億円)、南口地下広場の下を通る「地下案」(同250億~300億円)、南口広場に高架を設置して駅ビルの2階部分に上る「高架案」(70億~100億円)を提示している。
平面案は事業費が最も少なく抑えられるというが、タクシーやマイカーなどを含めた駅前の交差点が混雑することが想定される。高架案は路面電車が斜面の走行に耐えられるかが課題を残す。地下案では設計が可能かどうかの判断も必要となる。
広電の越智秀信社長は「高架案は急勾配で上れないし、平面は渋滞を招く可能性がある。可能なのは地下案だけだ」と強調。事業費も140億円と想定している。一方、JR西日本広島支社の杉木孝行支社長は「広島駅のメーンの乗り換えの動線は2階のため、(高架化案が)有効だと考えている」と話している。
広島市道路交通局公共交通計画担当の品川弘司課長は「3案が技術的に可能かどうかを検討している」としており、今夏にも技術的な検証結果を提示する予定。事業者からは広島の街のあり方に大きな影響があるにもかかわらず、結論が出ないまま月日がたってしまったことだけに「早く結果を出してほしい」との声が高まっている。
■北口でも課題
北口の交通計画も難航している。現在、北口は西側がバスとマイカー、東側がタクシーの広場だが、西側をバスとタクシーに東側をマイカー専用に再編する計画。だが、業界団体は市に「接触事故などの安全面の課題が多い」との要望書を提出した。
北口では「二葉の里地区」の開発、南口でも大型の商業施設やマンション開発の計画も進む。これら再開発のあり方も新しい交通体系の影響を大きく受けるだけに、その整備を急ぐ機運は一層の高まりを見せている。
(広島支局 花井悠希)
JR広島駅、広島電鉄、越智秀信、JR西日本
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