国際石油開発帝石は11日、原油・天然ガスの生産量増加に向け、15年間で総額約9兆5000億円を投資する計画を発表した。柱になるのが世界的に需要が増える液化天然ガス(LNG)。オーストラリアの大型プロジェクトを弾みに企業の買収も視野に入れる。福島第1原発の事故以降、日本でも天然ガス調達の重要性が増しており、投資戦略の成否は日本のエネルギー供給のあり方も左右しそうだ。
国際帝石の原油・天然ガス生産量は日量42.6万バレル(原油換算)で日本企業で最大。中長期ビジョンでは2020年代前半に同100万バレルに引き上げる目標を掲げた。
けん引役となるのが豪州北西部沖のLNGプロジェクト「イクシス」。日本企業が主導する初めてのケースだ。16年末に生産を始め、日本向けには11年の国内需要の7%相当を供給する。
LNG案件は投資額が兆単位と巨額で技術などの経験も必要なため、主導できる企業は欧米メジャー(国際石油資本)など一握り。国際帝石はイクシスの実績をふまえ積極投資に動く。
ビジョンではイクシス生産開始までの5年と、その先に分け2段階の成長をめざす。今後5年に予定する投資総額3兆5000億円は、過去5年の実績比2.4倍でイクシス向けが中心だ。その後の26年までの10年間はイクシスが生み出す収益や借入金を元に、投資を総額6兆円に増やし、「M&A(合併・買収)も積極的に考える」(北村俊昭社長)。ここもけん引役は天然ガスになる。
同社はインドネシア沖のLNGプロジェクトを主導し、日揮と共同で権益の4割を持つカナダの「シェールガス」鉱区もある。カナダでは20年前後に日量20万バレル(原油換算)の生産を計画。北村社長はLNGとして「日本やアジア向け供給を検討している」と述べた。
国内での天然ガス需要の掘り起こしも進める。20年代前半までに供給量を現状から5割増の25億立方メートルを計画。電力会社などからの要請があれば「LNG火力発電の参画も検討する」(北村社長)と意欲を見せた。
ただ、日量100万バレルという生産目標を達しても、欧米メジャーの背中は遠い。欧米大手だけでなく中国勢も海外投資を積極化。原油高で収益性の高い石油開発に重点投資するのは世界の潮流で、世界トップクラスは年間で2兆~3兆円規模の投資を続けている。
北村社長はメジャー追撃でなく、「準大手で天然ガスに特色を持つ開発会社になる」とし、「自主開発のLNGを日本に供給するのがミッション」と語った。産ガス国やメジャーに頼ってきた日本のLNG供給源を多様化できるかが試される。
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