4月6日現在の検討状況等についての情報を北九州市のホームページでお知らせしています。

災害廃棄物の受入れについて政府への回答
(平成24年4月6日付 23北九環循循第318号)(PDF形式:44KB)

北九州市各区役所周辺、ごみ焼却工場における放射線量調査結果について
(第一報・平成24年4月6日)(PDF形式:60KB)


3月19日(月)
予算特別委員会の市長質疑。10時から17時過ぎまで。東日本大震災のがれき受け入れについて市議会の各会派から質問を受ける。
全会一致で可決されたがれき受け入れの決議を市長はどのように受け止めているか、決議どおり受け入れを表明すべきとの質問に対する答弁要旨は、次の通り。

【被災地の状況】
東日本大震災による災害廃棄物は、環境省の推計によると、岩手・宮城の両県で合わせて2,000万トンを超える膨大な量が発生している。未だ、そのうちの6%弱しか処理が進んでおらず、特に最終的な処理先の確保が厳しい状況となっている。被災地では、現在も災害廃棄物がうずたかく積み上げられたままの状態であり、復旧・復興の大きな妨げとなっている。

【広域処理の状況】
広域処理については、東北以外では東京都が受入れを行っており、その他には、静岡県島田市が、今月15日に、正式に受入れを表明したのみである。また、受入れの方針を表明したものの、住民の反対により撤回したり、凍結した自治体があることも事実である。

【災害廃棄物の受け入れ決議について】
このような中、今回、被災地のがれきを受け入れるべきとの決議が全会一致で採択されたことは、真摯に受け止めるべきと考えている。がれきの山が被災地の復興を妨げているということについて、何とかしなくてはならないという思いは共有させていただいている。

【国の動き】
政府では、災害廃棄物の広域処理の緊急性を踏まえ、今月16日に、多くの道府県及び政令指定都市に対し、内閣総理大臣から要請書を送付し、本市にも届けられた。このことは、極めて異例なことである。これまで本市は、被災地からの受け入れ要請があれば、可否を検討する立場を表明してきた。総理要請は、節目となる。

【市民の不安】
一方で、一部の国民の中には、人の健康、特に子どもの健康に対する不安や農水産物への影響、様々な地元産品に対する風評被害を懸念する声があることも事実である。

【監視体制等の他都市の状況】
情報収集の一環として、今月15日に開催された、宮城県女川町での意見交換会に派遣した職員からの報告では、がれきの搬出にあたって、仮置き場や選別施設、コンテナへの積み込みの各段階において放射線量を測定するなど、安全に十分注意しながら作業が進められていたということであった。
また、受入れ側である東京都では、住民に対し、放射線量の測定結果などについて迅速な情報公開と丁寧な説明を行い、不安感の払拭に努めているということを聞いている。

【他の自治体の独自基準】
現在、受入れを行っている自治体や受入れを表明している自治体の中には、独自の基準を定めているところもある。その数値としては、可燃物を受入れる際の基準値としては、山形県が1キログラムあたり200ベクレル、静岡県島田市をはじめとする複数の自治体が100ベクレルを、また、焼却灰を埋立処分する場合の値としては、山形県が1キログラムあたり4,000ベクレル、大阪府が2,000ベクレルなどとなっている。

【本市独自の基準】
複数の自治体が可燃物を受入れる際に用いている「1キログラムあたり100ベクレル」という基準は、原子炉等規制法のクリアランスレベルを満たすものであり、それ以下であれば、放射性物質として取扱う必要のない基準である。
この基準を算出するために用いた放射線量は、年間0.01ミリシーベルトであり、これは健康に対する影響を無視できるレベルで、国際的に認められている。
いずれにしても、市議会決議に盛り込まれた「本市独自の基準」については、受入の検討を行っていく中で、考えていきたい。

【受入れに対する今後の方針】
私自身、様々な思いがあるが、入り口で立ち止まっているだけでは何も解決しない。健康被害をはじめとする安全・安心面、風評被害などのリスクをできるだけ小さくしつつ、東北の復興に貢献するにはどうすればよいか早急かつ現実的に考え、行動する必要があることを強く感じている。
そこで、これまでの情報収集から一歩踏み込み、具体的な支援先を決め、受入れ方法や健康への影響などについて、専門家を交えて、精緻な議論を進めることとしたい。

具体的には、
・対象とするがれきの種類
・搬入時の放射線量の目安や運搬方法
・焼却、最終処分の方法
・放射線量の測定方法
・健康面や農水産物、地元産品への影響
・不安払拭に向けての市民への広報
・試験焼却の方法やモニタリング
など、様々な点について検討をすすめる。
この検討は、受入れにあたって必ず行うべきプロセスであるとともに、スピード感を持って行う必要があり、ただちに着手するように指示をしたところである。

【受入れの可否】
受入れの可否については、この検討結果を市民にお示しした上で、最終的に判断したい。