3つの竜巻 積乱雲“スーパーセル”から5月11日 18時21分
今月6日に関東北部の各地を襲った竜巻について、気象庁は、「スーパーセル」と呼ばれる巨大な積乱雲からほぼ同時に3つの竜巻が発生し、最大30キロ余りにわたって被害をもたらしたという分析結果を発表しました。
今回の竜巻について、気象庁観測部と気象研究所は、これまでの現地調査に基づく分析結果を中間報告として発表しました。
それによりますと、茨城県や栃木県の3つの竜巻は、今月6日の午後0時30分ごろから40分ごろにかけて相次いで発生し、このうち、栃木県真岡市から益子町、茂木町、それに茨城県常陸大宮市にかけての竜巻は、被害の範囲が幅およそ650メートル、長さおよそ31キロに達し、気象庁が50年余り前に統計を取り始めてから被害の距離が2番目に長い竜巻となりました。
竜巻による風の強さは、6段階の指標の下から2番目と3番目に当たるF1からF2と推定されています。
また、茨城県筑西市から桜川市にかけての竜巻は、被害が幅およそ600メートル、長さおよそ21キロで、強さがF1と推定され、茨城県常総市からつくば市にかけての竜巻は幅およそ500メートル、長さおよそ17キロで、強さはF2と推定されています。
一方、3つの竜巻が発生する1時間余り前の午前11時20分ごろは、福島県の会津美里町でも竜巻が発生して、住宅の屋根などに数百メートルにわたって被害が出て、強さは最も低いF0と推定されています。
さらに、当時の関東地方の気象条件を解析したところ、大きさ10キロから20キロほどに発達した巨大な積乱雲「スーパーセル」が発生していたとみられることが分かりました。
スーパーセルは、内部に強い上昇気流や渦を持つ積乱雲で、通常の積乱雲に比べて消滅するまでの時間が長く、大規模な突風災害を引き起こすことがあります。
気象庁の鈴木修観測システム運用室長は「3つの竜巻がほぼ同時に発生したのは珍しい。当時、関東には複数のスーパーセルが発生していた可能性がある」と話しています。
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