現在位置:
  1. 朝日新聞デジタル
  2. ライフ
  3. 教育
  4. 教育問題
  5. 記事
2012年5月11日14時13分

印刷印刷用画面を開く

mixiチェック

このエントリーをはてなブックマークに追加

防止策強化の矢先 小学校長、酒酔い運転容疑に県困惑

 埼玉県坂戸市立片柳小学校長の大附邦夫容疑者(58)=ときがわ町大附=が道交法違反(酒酔い運転)容疑で現行犯逮捕された事件は、教育関係者や保護者に大きなショックを与えた。昨年末から飲酒運転による処分が相次ぎ、対策に力を入れていた県教育局は管理職の不祥事に、改めて「指導を徹底する」と表明。大附容疑者が勤める小学校では、急きょ保護者会が開かれるなど対応に追われた。

 西入間署によると、大附容疑者は9日夜、越生町成瀬の県道を酒に酔った状態で、乗用車を運転した疑いがある。現場はゆるやかなカーブで、大附容疑者は道路脇の縁石にぶつかったが、けがはなかった。車は走れないほど壊れたという。大附容疑者は「学校から帰宅後、日本酒と焼酎を飲んだ。買い物にコンビニに行くため車で出かけた」と供述しているという。

 坂戸市教委によると、大附容疑者は今年4月に片柳小に着任したばかりという。

◆相次ぐ教員の懲戒処分「より現実的な策に」

 県教育局小中学校人事課によると、飲酒運転の懲戒処分を厳罰化した2006年12月1日以降、懲戒処分になった県内公立小中学校教職員(さいたま市を除く)は、免職4人、停職5人の計9人。管理職はいない。

 教育局は飲酒の機会が増える時期に「飲んだら乗らない」「深酒には注意する」など、通知や会議の場で注意喚起してきた。だが昨年12月〜今年2月、酒気帯び運転での懲戒処分が3件続き、防止策を強化。「会議の説明だけでは聞き流される」と、1月には各校の倫理確立委員会で、飲酒運転に特化した教職員の研修会の実施を通知し、2月下旬までに報告書の提出を求めた。ほぼ全校から提出され、大附容疑者が校長を務めていた前任校でも、飲酒運転防止のテーマに講義や討論形式の研修会を開いたという。

 また、教職員が集まる会議の場で「飲酒量の多い職員に飲酒時間や量を聞き取り個別指導」「アルコールセンサーを学校で購入」といった報告書の先進事例を紹介してきた。

 今月1日に開かれた全県の公立小中学校長会議で、教育長や課長ら3人が飲酒運転に触れ、「教職員だけでなく管理職も気をつけてほしい」と注意喚起したばかりだったという。同課は「力を入れていただけに、管理者の逮捕はとんでもない。飲酒運転は心持ちで防げるはず。話をしてだめならより実践的な防止策を検討したい」とショックを隠しきれない様子だった。

◆保護者会で市教委が謝罪

 大附容疑者が勤務する坂戸市立片柳小学校(児童236人)で10日夜、臨時保護者会が開かれた。市教委学校教育課によると、森沢清教育部長が集まった保護者56人に「学校を監督する側として、ご迷惑をおかけして申し訳ない。職員の事故の防止を校長会を通じて指導してきたが、伝わらず遺憾だ」と謝罪。「子どもの心のケアのため、学校にケアを担当する指導員を配置することを検討したい」と説明した。

 保護者からは「今回の事実を伝えるのは誰がやるのか。親か、学校か」などと質問があり、森沢部長は「1年から6年の発達段階に応じて、言葉を選んで各担任が伝える」と答えた。

 保護者会終了後、森沢部長は「今回は指導する立場の校長が(酒酔い運転を)してしまい、申し開きがたたない」と話した。

 市教委は11日午前9時半から市立教育センターに市内の小中学校の校長を集め、改めて法令順守を指導することにしている。

検索フォーム

おすすめリンク

この映像を後世に残すために。143分収録永久保存版DVD。地元放送局が捉えた震災の実体と巨大地震・津波のメカニズムを解説

マイケル・サンデル教授の名講義を書籍化。東大での特別授業「イチローの年俸は高すぎる?」を上巻、「戦争責任を議論する」を下巻に収録

「警察学」の授業から学生消防隊まで。生き残りをかけて公務員予備校化しつつある大学のいま。

母と娘の確執――なぜ彼女たちは苦しんでしまうのだろうか。

戦前など昔の新聞は、記事の書き方も紙面の扱い方も違います。昔の記事を俎上(そじょう)に、今の基準で校閲します。

子どもと教師の接点は、教師の「指導力」だと説く。褒める、叱る、聞く―その本質を経験を踏まえ紹介する


朝日新聞購読のご案内
新聞購読のご案内事業・サービス紹介

[PR]注目情報

学校からのお知らせはこちらから

ジャンル別の最新情報はこちら
  • 大学
  • 中学・高校
  • 通信制高校