河北春秋
作家の丸谷才一さんによると、新兵いじめの本家はイギリス海軍とプロシア陸軍。日本の軍隊は昔、これをまねた。名だたる鉄拳制裁だ。古参兵が理由もなく殴る▼学校の教師が召集され、軍隊でひどい目に遭うと、除隊後、今度は自分が生徒を殴った。そうしてビンタなどの体罰が学校にも広がった。さすがに今は、乱暴な制裁など聞かなくなったが
▼と思いきや、野蛮なやり方がまだ生き残っていた。小樽商科大だ。アメフット部員が合宿中に飲酒し、急性アルコール中毒で1人が重体となった。1年生はつがれた酒は残せないルール▼飲酒の強制は立派な犯罪だ。強要罪に問われる。急性中毒となれば傷害罪、死亡すれば傷害致死罪の可能性がある。一気飲みなどでわが子を亡くした親たちが作ったNPOの、ホームページに載っている
▼この団体は今春、8万枚以上のチラシとポスターを各大学に送った。「無理に飲ませないで」「部の伝統を押しつけないで」「早く救急車を呼んで」などの言葉に、親の無念さがにじむ▼作家の山口瞳さんは、新成人に向けた洋酒の広告に書いた。「諸君は、今日から酒を飲むことについて勉強する資格を得ただけなのだ。人生仮免許なのだ」。酒を強要しては、仮免許も取り消しだ。
2012年05月11日金曜日
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