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'12/5/11

宮島がラムサール条約登録へ




 環境省は10日、国際的に重要な湿地を保全するラムサール条約の新たな登録候補地として、国内唯一のミヤジマトンボの生息地がある世界遺産の島・宮島(廿日市市)など9カ所を指定すると、中央環境審議会野生生物部会に報告した。7月にルーマニアで開かれる条約締約国会議に合わせて登録される見通し。決まれば中国地方では秋吉台地下水系、中海、宍道湖に次いで4カ所目となる。

 宮島の登録区域は、瀬戸内海国立公園特別地域でミヤジマトンボがすむ沿岸部の湿地など142ヘクタール。「絶滅のおそれのある種や群集を支えている湿地」などの基準に該当するなどの登録条件を満たした。登録後はミヤジマトンボの生育環境をさらに改善していく。

 ミヤジマトンボは環境省のレッドデータブックで絶滅危惧I類。満潮時に海水が入る汽水性湿地に生息し、個体数は成虫で300匹前後とみられる。1990年代以降の大型台風で湿地が砂に埋もれるなどしたため、国、広島県、地元の研究者たちが協議会を設立して地道な保護活動に取り組んできた。

 登録候補地9カ所のうち、渡良瀬遊水地(茨城県ほか3県)円山川下流域・周辺水田(兵庫県)荒尾干潟(熊本県)は登録に必要な国内法による環境保護の措置が取られていなかったが、この日の部会で鳥獣保護区などに指定することが了承された。

【写真説明】国内唯一のミヤジマトンボの生息地があり、ラムサール条約の登録候補地となった宮島(撮影・福井宏史)

【写真説明】絶滅危惧種のミヤジマトンボ。個体調査のため羽に番号が記されている




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