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■ 秋田のニュース:社説

社説:小沢裁判控訴 「政治とカネ」の解明を

 陸山会事件で小沢一郎民主党元代表を政治資金規正法違反罪で強制起訴した検察官役の指定弁護士は、無罪とした東京地裁判決を不服として控訴した。「一審判決には看過し難い事実誤認があり、修正可能と判断した」というのが控訴の理由だ。

 一審では、検察の違法な取り調べによって供述調書の多くが証拠採用されなかった。控訴審でも有力な新証拠を得るのは困難な状況で、共謀立証のハードルはより高くなるとみられる。

 ただし、今回の事件は一般市民からなる検察審査会の起訴議決に基づき、初めて政治家が強制起訴された事案である。「市民起訴」を重視する指定弁護士の職責が、控訴を決断させたとも言えるのではないか。控訴審が「政治とカネ」の問題の真相解明につながるかどうか、引き続き注視しなければならない。

 一審判決は元秘書による収支報告書の虚偽記入を認めたほか、記載内容に関して元代表が報告を受け、了承していたと認定。「共謀共同正犯の成立を疑うことには相応の根拠がある」とまで指摘した。結論以外は指定弁護士側の主張がほぼ認められただけに、「灰色決着」と指摘されても仕方あるまい。

 それに、元代表が土地取得のため提供した4億円の原資は特定されず、巨額の資金移動の不透明な実態も浮き彫りになった。「違法性に対する元代表の認識の証明が不十分」として無罪が言い渡されたとはいえ、「政治とカネ」に対する疑念が晴れたとは到底言えないだろう。

 控訴審は、一審判決の事実認定と結論の整合性などを争点に再び全面対決する場となる。最高裁は、控訴審で逆転有罪とするには一審の事実認定がよほど不合理な場合に限られるとの判断を示しており、元代表の共謀を裏付ける新たな証拠がない限り「逆転有罪は厳しい」との見方も少なくない。

 果たして控訴審では元代表の違法性の認識と故意が証明され、一審判決が覆るのか。不透明なままである資金の流れの解明も含め、審理では可能な限り真相に迫ってほしい。

 一方、控訴を受けてあらためて問われるのが元代表と民主党の政治責任に対する姿勢だ。

 民主党は「判決確定まで」としていた元代表の党員資格停止処分を、指定弁護士の控訴判断を待たずに解除を決めた。解除は控訴期限の10日付としていたが、控訴されたのに解除は変えないという。これが公党としての対応だとは理解に苦しむ。

 元代表は一審で無罪になったとはいえ、「収支報告書は一度も見ていない」などと法廷で発言したことを判決は「およそ信用できない」と厳しく指摘している。元秘書3人が虚偽記入で有罪判決を受けたことも踏まえれば、元代表の政治責任が不問に付されたわけではない。元代表と民主党が国会での証人喚問に応じなければ、さらなる政治の混乱は避けられまい。

(2012/05/10 付)

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