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舞台芸術拠点の「急な坂スタジオ」、運営整わず4月から休館も、無償貸し付けに批判/横浜

2011年2月3日

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新年度まで2カ月を切り、まだ運営体制が決まらない急な坂スタジオ=横浜市西区

新年度まで2カ月を切り、まだ運営体制が決まらない急な坂スタジオ=横浜市西区

 横浜市の舞台芸術創造拠点「急な坂スタジオ」(旧老松会館、西区)の運営手法をめぐって市内部で疑問の声が上がり、場合によっては4月から休館せざるを得ない事態に陥っていることが、2日までに神奈川新聞社の取材で分かった。指定管理者制度を適用せず、NPO法人「アートプラットフォーム」に無償で貸し付けているが、これが「公有財産の有効活用としてふさわしいか」と批判の対象になっている。いまだ体制は定まらず、新年度の利用者予約も留保したままだ。

 この施設はもともと市営の結婚式場だったが、利用者の減少により当時の中田宏市長が進めていた「創造界隈(かいわい)」形成事業の拠点として再編。2006年10月に舞台芸術創造拠点としてオープンした。

 運営体制を決める際、市は、地方自治法が指定管理団体への運営委託を義務づけている「公の施設」から外し、指定管理者制度の対象外となった。

 この理由として、創造都市推進課は「指定管理者制度の施設では、運営団体選定の際に企業も応募できる。だが、NPO法人を育てる場にしたかった」と説明。運営団体に企業が応募することを避けるため、同制度を導入しなかった経緯を明かす。

 こうして市は「アートプラットフォーム」に施設を無償で貸し付けることを決定。しかし市公有財産規則では、無償貸し付けの対象となるのは国や地方公共団体、農協などの公共的な団体に限られている。当時の担当職員は「NPOも公共団体に含まれる」と解釈したという。

 あいまいな解釈に、他部局や市民から疑問の声が上がったのは昨年秋のことだ。同NPO法人との契約は10年度で満了となる。創造都市推進課は11年度も同じ体制で継続する意向だったが、運営方法の見直しを迫られることになった。

 ある議会関係者は「NPOは公共団体にあたらない。無償で貸し付け、補助金を出して指定管理者のようなやり方をしているのはおかしい。市公有財産規則違反だ」と強く批判する。また、市内の文化団体関係者も「特定のNPOに便宜を図っているように見える」。

 同課は「当時は専門家などに意見を聞いて(無償貸し付けを)決めたが、グレー的な解釈で時代によって変わる部分もある」と歯切れが悪い。「何とか休館は回避すべく一日も早く、指定管理者制度導入も含めて方針を決めたい」と話している。

    ◇

 運営団体決定の経緯 
 横浜市は2006年6月に急な坂スタジオの運営団体を公募。NPO法人や非営利団体を募集対象とし、4組が応募した。このうち、NPO法人「アートネットワーク・ジャパン」と同「STスポット」に決定。のちにこの2団体が現在の運営NPO法人「アートプラットフォーム」を発足させ、同団体に権限移譲。市との契約では、アートプラットフォームの運営期限は今年3月31日まで。

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この記事へのコメント

392 [2011/2/4 04:26]  編集する
非常に残念です。議員の人が市公有財産規則違反だと訴えておりますが、その議員にこれからの横浜都市計画のことをどのように考えているのか聞きたいです。急な坂がある地区は競馬の馬券を買いにくるような人々が集まり、夜になると娼婦が立っていました。横浜にもこのような場所がある。これは事実です。多くの舞台芸術やアーティストが関わり街がよくなり活性化してきたところです。多くの舞台関係、アーティストが横浜市と関わることによって横浜市というブランドは成り立ってきたのです。ここで、ひとつ、またひとつと芸術の場がなくなるということは非常に危険なことです。アートと都市がかかわり未来を創ってゆくことを市公有財産規則違反だと訴える意味がわかりません。非常に残念です。急な坂をなくさないでいただきたく思います。


(2011/2/4 04:30更新)
ootahara [2011/2/4 21:01]  編集する
急な坂スタジオって、横浜トリエンナーレの4拠点の1つだったのでは?
横浜市美術館とBankArtNYKと、わずか8室しか無い出来立の中華街の1ビルだけでは、Y150の二の舞になりそうな予感がします。
法的にグレーなのなら市公有財産規則の附則を追加する事で法的根拠を作るとか
ばっさりと仕分けちゃうのか、迅速な議会運営を行うべきだと思います。
特に、国会の方で法律が制定できず4月になって大変な事になるようなので、
それと同類にならべられて目立ちますよー。
コージータハラ [2011/2/5 15:32]  編集する
 
 
横浜市議会議員のお手柄だ。そもそもこうした市政の非常識をただすのが市議会の仕事。屁理屈を許さず、暫時閉館もやむを得ずの覚悟で厳しく追及してほしい。

記事も背景からよく取材し丁寧に書かれている。
公有財産規則違反、特定団体への利益供与、競争性の排除、品質向上の機会の排除…ひどすぎる。そもそも公共の財産を民間団体に無償で供与することがやたらと認められていいわけがない。
役人の身勝手な理屈を認めてはならない。
このようなデタラメな行政を許すことは、納税者をないがしろにすることになる。
絶対に許してはならない。
市議会、神奈川新聞社の徹底追及に多いに期待する。

投稿者の中には、関係者なのか、「全然意味の通じない」言い訳をしている人がいる。
が、事業仕分けの時の役人の言い訳よりもひどいと感じる。

少し極端な言い方になるが、「まちづくり」「都市計画」とかいう言葉にかぶれて横文字を並べて奇麗事をいう人たちは、「芸術は美しいが競馬は汚い」という差別感情、偏見を持っていたりする。
それが実は軽薄な感傷でしかないことに気づかない。

庶民が文化を作るのだ。
競馬も立派な文化である。競馬ファンがいない町を、美しい町と考えるのは、傲慢な発想である。

繰り返すが、庶民が文化を自ら作るのだ。
行政が都合のいい場所に「拠点」を用意して、都合のいい文化を「創造させる」のではない。

行政が旗を振って庶民をリードするという発想、特に文化振興や都市づくりの発想は、社会主義的・官僚主義的な意味合いが強くなりがちだ。
必ずしも庶民のためになっていない。
むしろ行政の自己満足にしかなっていない。

「現場」とはどこか。それを私たちはもっと強く自覚しなくてはならない。
 
 

(2011/2/5 17:16更新)

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