カオス見てから画像余裕でしたコア
アーティストによる展覧会紹介
「ネオエクスデス」という作品を作ったことがある。
タイトルの由来となっているのは日本の国民的RPGであるファイナルファンタジーの五作目のラスト・ボスの名前だ。
ネオエクスデスの造形は自分にとって初めて体験した異形の物として心に深く残った。
触手、翼、トルソー、女神、骸骨など様々な怪物的、人体的なオブジェが集合して一つの大きな構造物として空中に浮かび、主人公の前に圧倒的な力で立ちはだかっていた。
異なる要素同士が密集して一つの創造物となる魅力は、いわゆるMAD的想像力とも相似する。
製作者も文脈なばらばらな映像同士が一つのタイムライン上で編集され切り刻まれ目に飛び込んでくるそのカオス感は、ニコニコ動画上でより生成力を増し、元ネタであるアニメーション制作会社の多くがその力を意識せざるを得なくなった。
僕が愛するMAD的な想像力の多くは、素材として用いている映像やアニメに対して何か反発心やアンチテーゼをもって制作をしているわけではない。むしろそこに登場するキャラクターや世界観に感動し、色彩感覚に陶酔し、リスペクトを込めてそれぞれのコンテンツの中で一番感動した部分をチョイスして切り張りし、再構成して新たな異形の創造物を作り上げている。それはまるでネオエクスデスのように圧倒的な存在感で僕の前に立ちはだかり、多くのアート作品を乗り越えて自分に影響してきた。
そのため、基本的に僕は既存のアニメーションやゲームの画像を切り貼りし、一つの平面作品として提示する手法をメインとしてきた。しかし、今回の個展では素材となる画像を二次元に限らず、僕の身の回りで起きた現実の気になる現象をピックアップしてごちゃまぜにして提示する。その現象とは「カオス*ラウンジ」であり「破滅*ラウンジ」である。
ラスボス的な、既存の画像を切り張りしたMAD的なイメージと、僕の身の回りに起こったリアルなこの現象とが同じ空間に作品として現出する際、どのようなマッシュアップとなるのか自分の目で確かめたいし、是非各々の目でも鑑賞してほしい。
text by 梅沢和木